INTERVIEW
社会医療法人友愛会 友愛医療センター
200〜399床
物品購入
民間
2025/03/07 06:56

社会医療法人友愛会 友愛医療センター 救急科部長 山内 素直 先生にクラウドファンディング実施の経緯とその後の反響を伺いました。
社会医療法人友愛会 友愛医療センター
沖縄県・病床数 388床・職員数1,359名
クラウドファンディングプロジェクト
沖縄の救急、地域医療のために。救急車型ドクターカー導入に支援を!
資金の使い道:救急車型ドクターカー導入費用
動機:予算捻出の課題。クラウドファンディング実施によるファン獲得
成果:「ファンの獲得」以外にも、地域の皆様から応援されていることがわかり、職員のモチベーションや地域の皆様に対する責任感も芽生えた
目次(前編)
ー今回のプロジェクトの発起人である山内先生のご経歴を教えてください
筑波大学を卒業後、浦添総合病院で初期研修を修了し、東京ベイ・浦安市川医療センターやアメリカの大学や病院等での勤務を経て、2020年3月に現在の友愛医療センター・救急科に着任致しました。
国内の救急医と少し違うキャリアとしては、米国の救急専門医資格とEMS(Emegency Medical Service)のサブスペシャリティー専門医資格を取得していることが挙げられると思います。アメリカ留学以前より、プレホスピタル(病院前救護)と災害医療に関心があったことから、このようなキャリアを歩んでいます。
正直なところ、米国EMS専門医資格についてはわざわざ苦労してまで受験しなくてもいいのではないかと考えていました。しかし、当院の救急科は「Together ER, Do Better, To HighER」をスローガンに掲げており、自分自身も現状に満足せず、もっと上を目指し、部門をさらなる高みへ導くことにも寄与したいと考え、資格を取得しました。

ー 先生はなぜ救急医になられたのですか?
中学生の頃にアメリカの医療ドラマ「ER」にハマり、単純にカッコいいなぁと憧れたのがきっかけです。一分一秒を争う現場で、刻々と患者さんの容態が変わっていく中、自分の知識やスキル、判断力で患者さんを救えるような医師になりたいと思いました。
ー友愛医療センター様の二次医療圏における救急医療の現状や課題を教えてください
当院は、那覇空港からのアクセスも良い沖縄県豊見城市にありまして、地域災害拠点病院、二次救急医療機関として地域の高度急性期医療を担っています。
2023年度の救急患者受け入れ総数は13,940名に達していて、救急車の受け入れ件数も年間5,300件を超えるなど、医療圏における当院の救急医療はその役割を年々拡大しています。
ー2020年に新病院に移転をされていますが、救急対応にも何か変化がありましたか?
はい。まさに、2020年8月の新病院移転を機に、救急機能を大幅に強化してきました。実際に、旧施設に比べ、新病院の救急外来の延床面積は5倍となっています。重症患者の受け入れ体制も充実し、従来からあったラピッドレスポンス型のドクターカー出動件数も飛躍的に増えました。

(山内先生(クラウドファンディングプロジェクトページより))
ー 大きな変化があったのですね。そのような中、どのようなきっかけがあり新たに救急車型ドクターカーの導入を検討され始めたのでしょうか?
そもそも、当院で運用していた、ラピッドレスポンスタイプのドクターカーには、患者さんの搬送機能がなく、あくまでも当院の医師や看護師・救命士を現場にいち早く送り届けるための車両でした。
実際、この車両で私たちはこれまでにもたくさんの救急現場へ出動しており、火災や水難事故の現場にも赴き、所轄消防や海上保安庁と連携しながら、多くの命を救ってきました。
そんな中、患者さんの搬送ができる高規格救急車、いわゆる救急車型ドクターカーを導入したいと考えるようになった背景は3つあります。
ー 3つの背景、気になります。ぜひ具体的に教えてください
まずは「救急医療体制の強化」です。ここ数年で、救急患者が増加したことにより、地域の救急隊の業務が慢性的に逼迫しています。患者搬送もできる救急車型ドクターカーを使用することで、救急隊の負担を減らし、地域のより良い救急医療体制づくりに役立つのではと考えました。
そして、2つ目は「持続可能な地域医療体制の構築」です。救急車型ドクターカーを施設間搬送に活用することは、当院の病床逼迫を防ぐことにも繋がりますし、2024年6月から救急患者連携搬送診療料が算定可能になるなど、当院のように救急患者を多く受け入れる病院と、転院後の受け入れ先病院が連携して地域医療を支える体制づくりがますます重要となってきました。
最後は「災害対応能力の強化」。地域災害拠点病院として、いつ来るかわからない災害に備えつつ、必要となれば全国各地の被災地へ車両を派遣することで、被災者の皆様に役立てることができると考えました。
この3つの理由から、救急車型ドクターカー導入を目指すプロジェクトチームを立ち上げました。

(一番右が山内先生(クラウドファンディングプロジェクトページより))
ーその中で、クラウドファンディングに関心を持ったきっかけを教えてください
救急車型ドクターカー導入に向けての一番の課題は予算でした。当院のような高度急性期病院は、法人の事業収益は大きく見えますが、実際には人件費や医業費用、設備投資がかさみ、純利益は非常に限られていますので、正直なところ、高額な設備導入には慎重な意見もありました。
そんな中で、TVで沖縄の中学生がクラウドファンディングに挑戦しているニュースを見て、ふと自分たちの病院でもできるのではないか?と思い、クラウドファンディングという資金調達の可能性を検討することになりました。
ー院内での検討には時間がかかりましたか?
そうですね。幹部会議や理事会を通じてプロジェクトへの理解と承認を得るまでにおおよそ1年半ほど費やしました。
ただ幸いにも、私たちの病院には新しい取り組みを応援する空気があり、クラウドファンディングへの賛同も結果的にスムーズに得ることができました。そして、車両と搭載する医療機器の導入に必要な費用は4,000万円と見積もり、そのうち半分の2,000万円をクラウドファンディングで調達することにしました。
ー新しい取り組みを応援する空気、素晴らしいですね!
クラウドファンディングの準備がその後始まり、何か印象が変わったことはありましたか?
当初、私たちもクラウドファンディングは「お金を集める手段」というイメージがありました。でも、READYFORさんとのミーティングを重ねるうちに、資金調達以外の価値があることに気づかされました。
支援を集める過程で病院としての取り組みを発信でき、支援者の方々と関係性を築くきっかけになるということです。
そこから、クラウドファンディングの目標を「ファンの獲得」と位置付けました。当院の救急医療への想いや地域医療に対する熱意に共感し、長く応援してくれる支援者との関係を築くこと。多くの方々に私たちの活動や使命を知っていただき、このプロジェクトが終わった後も、ずっと応援してもらう。そんなクラウドファンディングにしたいという気持ちが強くなりました。

(クラウドファンディングチーム(活動報告より))
ー「ファンの獲得」を目標に掲げた友愛医療センター様のクラウドファンディング。実際どのようにご支援・ファンを集めていったのか 後編へつづく
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