INTERVIEW
公益社団法人日本海員掖済会 名古屋掖済会病院
600床〜
公益法人
物品購入
2025/05/02 02:20

クラウドファンデイング実施のきっかけやメディアを通じた広報活動の極意については、前編をご覧ください。
目次(後編)
ークラウドファンディングに実際に取り組んでみての感想をお聞かせください
開始当初は、寄付は本当に集まるのだろうかという不安と、きっと集まるだろうという期待が半々でせめぎ合うような心持ちでした。
が、結果としては、クラウドファンディングはとても良い資金調達手段だったと感じています。院内では手数料が高額ではないかとの指摘もあったのですが、仮に手数料分を勘案しても、手元に残る金額としては非常に多く、今回の5,000万円の寄付は、当院で申し上げると10億円の医業収益以上の効果がある規模といえますので、実施して本当に良かったと思っています。
また、患者さんやご家族の方からは、クラウドファンディングが病院への恩返しの機会になったという、感謝や励ましのお声をたくさんお寄せいただき、職員一同大変感激いたしました。我々広報としても、高いモチベーションで、やりがいをもってプロジェクトに関わることができて大変満足しています。

(プロジェクトページに寄せられた応援メッセージ)
―逆に想定外だったことはございますか?
元々寄付の協力がいただけるかなとと思っていた医療関係会社は、実は特定の医療機関に寄付行為ができない取り決めがあったようで、まったく期待できなくなってしまったことは想定外でした。
その他、総じてご支援者様への対応には一定の時間がかかりました。当院に直接足を運んでくださった方へのご対応(120件)、お電話での問い合わせ対応、現金お持ち込み・サイトからのご寄付いずれも難しい方への口座振込対応など、想定以上の反響でした。
持ち込み分の管理、領収書の発行・発送作業など事務的な業務量もかなり発生しました。通常業務に加えて、これらを2名体制で対応していたので、院内でプロジェクトを一緒に進めてもらえる仲間をもっと作っておけば良かったと痛感しました。
また、デジタルでのPR活動に力を注いだ半面、院内掲示をはじめとして、営業(渉外)担当・郵便物・職員に向けたアナログでの広報活動が不足してしまったことも反省点のひとつです。対外的広報だけでなく、当院の職員にも報告会を開催するなどして、進捗を可視化する必要があったと感じています。
―プロジェクトの終了後はどのようなことに取り組まれたのでしょうか?
クラウドファンディングが終わってから納車までの時間が長く、どうしようかと思っていたところ、新聞記者さんから「お金を集めたその後の情報をもっと出さないと、お金を集める時だけだったのかなと思われてしまいますよ」とチクリと言われてしまったんです。また、患者さんや地域連携からも「あれはその後どうなったの?」という声が届き、発信をしていかなければと思いました。

―そこから、クラウドファンディングのその後についての発信をより積極的に行うことになったのですね。
はい。ドクターカーやラピッドカー(※)の納車までの期間も、当院のホームページ・SNS等で継続的に情報発信を行い、寄付者の皆様に身近に感じていただけるよう努めました。(※クラウドファンディングの第二目標金額の達成により導入に至った)
READYFORさんのサイト上の活動報告も活用しており、終了後の投稿件数がクラウドファンディング実施中の投稿件数を上回っています。
なお、ラピッドカーは一足早く2023年12月に納車となり、2024年1月2日には院長をはじめDMATチームを乗せて能登半島地震被災地へ出動するなど、早速活躍の場を広げています。

(災害医療支援チーム(DMAT)のメンバーが能登半島へ出発する時の様子)
ー2024年8月にはお披露目式も開催されましたね!
各関係者ならびに高額寄付者の方をお招きし、ドクターカー&ラピッドカーお披露目式を行いました。当日は猛暑の中、たくさんの方にご来院いただき、ピカピカのドクターカーの車内をご見学いただきました。
半導体不足等の理由で納車までブランクが出来てしまいましたが、クラウドファンディング終了から2年半越しに本格運用を開始することができました。
ドクターカーは緊急車両ですので、巡回バスのように毎日皆様に乗っていただくようなものではありません。「皆様のご支援によって、ドクターカーがこんな風に活躍している」という情報を今後も積極的に発信していきたいと思います。


(寄付者様への活動報告書)
ークラウドファンディングが終わった後にもご寄付があったと伺いました。
ありがたいことに、クラウドファンディング終了後にもご寄付をくださる方がいらっしゃいました。また記念誌とともに寄付依頼を同封して地域の皆様や企業様に送付した際も、合計数百万円のご寄付が集まりました。
今後も地域の皆様との関係づくりや、継続的に情報発信をしっかり行って行きたいと思います。
ーこれからクラウドファンディングをご検討中の病院様に向けてぜひアドバイスをお願いします。
当院のように、クラウドファンディングを「広報媒体の1つ」という認識で取り組む「広報担当者から始めるクラウドファンディング」もありではないかと思います。自分で言うのも恥ずかしいですが、情熱がある方がやるのがおすすめです。物資調達・資金調達する人の方が熱ければそれでもいいですが、広報担当者の方が熱ければぜひ手上げして自分が中心になって楽しんで欲しいです。
クラウドファンディングはもちろん資金調達手段ではありますが、それ以上に、多くの人とのつながりを生む、広報手段として大きな可能性を持っています。
また、クラウドファンディング中に、ご寄付を持参くださった方と直接お話する機会をいただいたことも大きな気付きを与えてくれました。現場にいるとついつい日々の業務に埋没してしまいますが、皆様とお話をすることで、私たち自身も「この病院は本当にいい病院なんだな」と再認識し、職員として誇らしい気持ちを新たにすることができました。
あとは、私たちの反省点から部署に関わらず多くの方、特に若手も巻き込んでいくことをおすすめします。こういった大きな取り組みに参加する機会はそうそうないですし、部署を越えた横の繋がりも出来ると同時に、貴重な経験を積むことができ、成長につながると思います。
クラウドファンディングは、資金調達の手段にとどまらず、広報にも、組織力向上にも一役買うことができると実感しました。取り組み方次第で、きっと大きな効果が得られると思いますので、是非、一歩踏み出して挑戦してみて欲しいですね。
※本記事は2023年6月にREADYFORが共催した「病院広報アワード入賞発表」および2024年6月にREADYFORが主催した「オフ会in福岡」でのご講演を元にしております。医療法人川崎病院様|「病院が一つになれる理由をくれた」――現場主導の『みんなの救急車』プロジェクトが生んだ、資金調達以上の価値
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