INTERVIEW
公益社団法人日本海員掖済会 名古屋掖済会病院
600床〜
公益法人
物品購入
2025/05/02 02:20

名古屋掖済会病院 広報部 課長補佐 盛田滝斗 様にクラウドファンディング実施の経緯や反響、クラウドファンディング実施後の広報発信について伺いました。
公益社団法人日本海員掖済会 名古屋掖済会病院
愛知県・病床数602床・職員数1,366人
クラウドファンディングプロジェクト
・一人でも多くの命を救うため|救急医療「最後の砦」に新たなチカラを
・資金の使い道:ドクターカー/ラピッドカー導入費用
・動機:クラウドファンディングが広報媒体の1つになると考え関心を持った
・成果:患者さんや地域の方など多くの方との繋がりが生まれた。また数多くの感謝と励ましの声が職員のモチベーションや組織力向上に繋がった
目次 (前編)
ー名古屋掖済会病院様について教えてください。
当院は、愛知県名古屋市南西部に位置する名古屋の中核を担う、600床規模の病院です。1978年に開設した救命救急センターがあり、毎年、救急車の受入れ件数は毎年1万台を超え、月に1,000台ほどの救急要請を受けています。コロナ禍でも出来る限り患者様を受け入れるスタンスを貫いてきました。

ー盛田様はいつ頃から広報になられたのですか?
本格的に広報を担当しているのは、2019年に課長補佐として広報部を立ち上げて以降です。それ以前は、情報システムの部署で電子カルテベンダーの対応などを行っていましたが、採用業務を通じてホームページやリーフレットの作成に関わるようになり、徐々に広報業務に関わるようになりました。
―広報としてどのような業務を担当されているのですか?
大きく分けると、ホームページ管理、SNS対応、広報誌、各種パンフレット等の発行、メディア対応などがあります。広報誌は、患者さん・職員・医療連携向けにそれぞれ展開しています。またテレビや新聞の取材対応なども積極的に行っています。最近では採用ホームページの関係から各部門とどうやったらいい人材を採用できるかなど積極的に関わっています。

(左が盛田様)
ークラウドファンディングに関心を持ったきっかけを教えてください。
簡単に言うと、「ひらめき」「ニーズ」「タイミング」の3つが揃ったことがきっかけです。私自身、「広報として何か新しいことに挑戦したい」という想いを持っていたんです。そんな時にクラウドファンディングの様々な事例を見て気持ちが高まっていたところに、救命センターの「ドクターカーが欲しい」というニーズを知り、これだ!と。
通常、何かを購入する際には、まず病院の許可を得て、その後資金調達の手段を考えます。しかし、この時は広報手段として「クラウドファンディング」をするが先で、そのために何を買うか検討するという順番になりました。
―新しい広報のアイディアを探されていて、これだ!とアンテナが立ったのですね。
そうですね。資金調達というのは通常、私たち広報の業務範囲ではありませんが、WebサイトやSNS、広報誌などを活用することはまさに私たちの業務のど真ん中で、そういったものをフル活用して挑戦できるクラウドファンディングは、広報プロジェクトの1つとして取り組むことができると思いました。
様々な広報媒体をもっと活用するきっかけにもなるし、当院の話題づくりにもなる。取り組んだら絶対に面白そうだ、という予感もありました。
ークラウドファンディングの実施に向けてどのように準備を進められたのですか?
他の病院様でのクラウドファンディング事例としてドクターカーの導入事例を拝見していました。そこで救命救急センター長でもある副院長に相談をしたところ、「まさに今導入を検討している」という返答。資金使途はすぐに「ドクターカー」に決定しました。
通常であれば、月に2回ある運営会の場でプレゼンを行い、決裁書類を回覧し院内決裁をとる流れなのですが、今回は「院長・事務部長に直接プレゼン」を行うことになりました。
まずはドクターカー導入について説明し、次に資金調達方法としてクラウドファンディングを提案しました。ドクターカー導入については、先に了承をもらいましたが、クラウドファンディングについては、「寄付を募る=病院が資金難だというイメージを持たれてしまう」「患者さんに不安を与えてしまうのでは」などの意見も出されました。
しかし、「READYFORさんでは院長の母校である名古屋大学付属病院様でもクラウドファンディングの実績がある」と伝えたところ納得され、スピーディーな意思決定が実現しました。

ークラウドファンディングの準備から公開期間中、どんな活動を実施されましたか?
2021年末に院内での承認が下りてすぐに、プロジェクトページの準備に取り掛かり、実際の公開期間は、翌年の3月から4月の44日間でした。
院内でのポスター掲示、患者さんのご家族様や職員に向けた広報誌の発行、地域に向けて新聞の折込チラシなども行い、時期に合わせて効果的な広報活動を行いました。中でも、やはり効果が強かったのはメディアでの取り上げです。
プレスリリースを出し、メディアに取材依頼をして記者会見を開催しました。また密着取材を受けていたドキュメンタリー番組の放映日に合わせてクラウドファンディング期間を設定しました。これらによりメディア露出は当院で最大風速の追い風となりました。

―いろいろな媒体を有効に活用されたのですね。
活用できるすべての媒体を駆使してクラウドファンディングの広報を行いました。プレスリリース、記者会見、テレビ、新聞、ラジオ、新聞折込チラシ、ポスター、看板、デジタルサイネージ、HP、SNS、広報誌(患者家族向けや職員向け)など…。1つの事象に対してこんなにフル活用したのは初めてですね。
ーメディアに対してはどのように情報発信されたのですか?
通常プレスリリースをする際には、記者クラブへの投げ込み、記者の方へ直接メールでご連絡を行っていました。実はこちらからアプローチしたのはこれが初めての経験でした。
結果的にはクラウドファンディング開始時の記者会見には、テレビ局5社、新聞社2社が集い、当院の広報としては大成功と言っていい状況でした。
これはコロナ禍においても「断らない救急」「断らない広報」を掲げて業務をおこなったことでできた関係性のおかげだと考えています。当時、多くの医療機関が取材NGとなっている中で、院長と交渉し、当院は可能な限りオープンにしました。できる限り現場との調整を行い、基本的に「取材OK 」としました。それでもNGだったコロナ病棟への立ち入りは、こちらで動画撮影して各社に送るなど協力を行ってきたことも、メディアとの関係構築に繋がりました。そういったコロナ禍からのご縁もあり、クラウドファンディング実施の際に、各メディアの記者の方々に直接コンタクトをとることができて、恩返しをしてくれたのだなと感じました。
なお、記者会見の場では、救急科の医師から「救急患者の命を守るために現場での処置ができるドクターカーを導入したいこと」「なぜご支援が必要なのか」を訴え、広く報道いただくことができました。

(記者会見の様子)
―メディアなどを通じた地域への広報活動を成功させる秘訣は何でしょうか?
院内での調整が大前提となります。院長や事務部長クラスの方など裁量権を持つ方々を味方につけたうえで、広報が舵をとり、院内のムードを高めつつ進めることができれば、プロジェクトはスムーズに進むと思います。
ーメディアでの発信を始め広報活動に注力された結果、ご寄付の推移はいかがでしたか?
クラウドファンディング開始の記者会見実施後は、READYFORさんのシステムを通じた寄付件数が大幅に増えました。また同月にドキュメンタリー番組が放映された際は、寄付の持ち込み件数もぐっと増えました。そのおかげで、開始月中に第1目標の1,500万円、2日後には第2目標の2,500万円を達成することができました。
さらに、記者会見から約1か月後に、中部地区の主読紙である中日新聞に記事が掲載され、寄付件数が上がったという印象です。その1週間後には第3目標の4,100万円を達成しました。
寄付の持ち込みや振り込みをしてくださった方々を含めると550人の皆様から5,000万円を上回る篤志をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。短期間に効果的にメディアを活用できたことで、多くの方々に認知いただき、よい結果を生むことができたと実感しています。

ー5,000万円のご寄付はX億円の医業収入に匹敵!?盛田様が感じたクラウドファンディングの価値やその後の寄付者様とのコミュニケーションについては、後編に続くー
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