INTERVIEW
医療法人尚豊会 みたき総合病院
〜199床
民間
物品購入
2025/07/22 04:10

医療法人尚豊会 みたき総合病院クラウドファンディングチームの、理事長・古橋先生、緩和ケア病棟看護師長・渡邊様、事務方・山浦様、理学療法士・後藤様にクラウドファンディング実施の経緯や、実施してみてのご感想などお話を伺いました。
クラウドファンディング実施の背景や実施前に感じていたことについては前編にて。
クラウドファンディングプロジェクト
目次
ー 組織面の課題というお話もありましたが、クラウドファンディングにより変わった部分はありましたか?
山浦様
クラウドファンディングに取り組むことで、各組織に横串を指すような形で多様な関係性が生まれ、活性化していくのを感じました。本来的には、自分が関わっている在宅医療関連の業務は緩和ケアのメンバーともっと密接にやり取りをしていく必要があると感じつつも、これまではできていませんでした。クラウドファンディングは組織間の壁を越えていく、いいきっかけになりました。
古橋先生
ラボットの導入は、実際に触れた人たちが効果を感じて、患者様の為にもスタッフのためにもなるとの想いで積極的に動いてくれたように思います。これまで、コミュニケーション不足で自発的にはなかなか動けない状況にいた人も、クラウドファンディングをきっかけに相互理解が深まり、動きだすことができた。そういった動きはプロジェクト終了後も続いています。
ー特定の方がリーダーシップを発揮された、ということでしょうか?それともチーム全体の動きが変わったということでしょうか?
古橋先生
特定の人がリーダーシップを発揮したというよりも、議論を重ね、相互理解が進むことでチーム全体の動きが促進されたという感じです。これまでは、同じ組織の中にいてもなかなか接点がなくて、知り合えなかったということもあるかもしれません。クラウドファンディングをきっかけに、とにかく皆がよく話すようになりました。やる気のあるメンバーが次々に現れて、率先して活動してくれるようになりました。「顔の見える関係」が増えたことで、自然と笑顔や挨拶が増えたようにも思います。
渡邊様
トップダウンで話が下りてきたら、手探りでも一歩踏み出すという土壌は以前からありました。ただ、リーダーシップはどちらかというと弱く、イニシアチブをとる人がいなくて、前に進めないというところがあったかもしれません。お互いに気を使って本音が言えず、という場面もしばしばでした。でもいざ話してみたら同じことを思っていたということが、今回コミュニケーションが活性化して見えてきました。

(「緩和ケア病棟に癒しを」クラウドファンディングプロジェクトチームのみなさん)
ーLOVOT(ラボット)の導入が組織のコミュニケーションを活性化し、クラウドファンディングへの挑戦が組織風土の変化を牽引したのですね。
古橋先生
そう思います。ラボットを院内予算で購入するのではなく、クラウドファンディングにしたからこそ得られたものが沢山ありました。当初は、皆様にご支援いただけるのか、院内のスタッフも賛同してくれるのかと多方面で不安を感じていました。しかし、実際に始めてみると院内スタッフも部署の垣根を越えて、プロジェクトページの活動報告に掲載する記事作成や写真提供に協力してくれて、とてもありがたかったです。

(緩和ケア病棟の応援にきてくれた地域連携室スタッフと)
クラウドファンディングに取り組み成功体験を得たことは、本当に組織にとって大きなことでした。多くのメッセージを頂くことで医療者としての自分たちの存在意義や提供価値を再認識することもできました。さらに、そこからどういう価値提供をしていくことができるのかということまで考えるきっかけにもなりました。
理事長に就任した際には部門間でのコミュニケーションの隔たりがあり、病院全体の最適解を目指すような動きが見られない組織体だったのですが、クラウドファンディングをきっかけに横断的に問題解決をしていこうという動きが出てきました。
ー実際にLOVOT(ラボット)を正式導入して以降、効果のほどはいかがですか。
古橋先生
ラボットとの触れ合いをきっかけに院内の会話が増え、職場が活性化したように思います。普段見ることのできないスタッフの新たな一面をラボットが引き出してくれた場面も多々あります。中にはラボット達の点呼係を買って出るスタッフもいたりと(笑)、患者様への癒し効果はもちろん、スタッフの笑顔が増えて、場の雰囲気が明るくなりました。
渡邊様
コミュ二ケーションをとるのが難しかった患者様とも、ラボットをきっかけに会話が弾むようになったり、職種間のやり取りも確実に増えたと思います。お試し出勤の時点で、患者様も職員も皆ラボットのことが大好きになり、導入後ラボットに会いに来る他科のスタッフもいるぐらいです。

(スタッフと交流し、癒しを与えるラボット)
ーもはやLOVOT(ラボット)がいない世界は考えられないほどですね!
ークラウドファンディングでは、どのような方々からのご支援があったのでしょうか。
古橋先生
本当にいろいろな方からご支援を賜りました。プロジェクトページで全国の方からいただいた応援メッセージも本当にうれしかったですし、広報活動の一環で地元タウン誌に掲載頂いた後は、病院に直接寄付金をお持ちくださる方が増えて、反響の大きさに驚きました。ご来院くださる方からもたくさんの応援メッセージを頂き、ありがたかったです。
渡邊様
直接お持ち込みくださる方は、ネットなど使われない高齢の患者様が多かったです。名前も言わず、とにかく応援したいから、と寄付金を置いていってくださる方もいて。寄付金を受け取るブースの設置など窓口支援が大事だなと感じました。
山浦様
特に、中日新聞掲載以降の反響はすごかったですね。患者さんだけでなく、ご家族の方などもご寄付下さいました。

(プロジェクトページ活動報告より)
ー地域の方々からのご反応はいかがでしたか?また最後に、プロジェクトを実施しての総括などお聞かせいただけますでしょうか。
古橋先生
概ねよかったです。はじめのうちは、クラウドファンディングによる資金集め=経営難という誤解を与えるのではという一部経営層からの反対意見もありましたが、企業の担当者さんに直接ご支援のご依頼に伺った際にもそういった反応は一切なく、好意的な反応を頂きました。
当病院の取り組みの認知度などもいままではなかなか測ることもできなかったのですが、プロジェクトページに届く応援メッセージで私たちの声がきちんと多くの方に届いているという実感を持つこともできました。
実施してみて思うのは、クラウドファンディングというのは単なる資金集めではなく、組織の内と外に共感の回路を作る社会的プロセスだということです。職員たちもこれを機に自部門のことだけではなく病院全体の最適化を考えるようになり、さらには、地元の方々や患者様のことも含めての取り組みを考えるところまで進化してきました。
皆様からの応援で自分たちの存在意義や提供価値を見つめることができたからこそ、さらにその先の価値提供を考えていけるようになったのではないかと思います。
ープロジェクトにより病院の内と外がつながり、さらに新しい価値提供を生み出すことのできる組織へと変化していかれたのですね。様々な不安もあったスタートから、成功を収めるまでの軌跡を垣間見させていただきました。本日は素敵なお話をありがとうございました。

(和気あいあいとした雰囲気でお話をお聞かせくださったみなさま。右から古橋理事長・渡邊・後藤様・山浦様)
※本記事は2025年4月の病院マーケティングサミットJAPAN主催・ファンづくり勉強でのご講演と、READYFOR社による追加インタビューを元にしております。医療法人川崎病院様|「病院が一つになれる理由をくれた」――現場主導の『みんなの救急車』プロジェクトが生んだ、資金調達以上の価値
医療法人川崎病院
200〜399床
民間
物品購入
瀬戸内海巡回診療事業様|4,000万円超のクラウドファンディングに成功。海をわたり島民の命をつなぐ診療船「済生丸」の尊さ
瀬戸内海巡回診療事業
社会福祉法人
物品購入
桐生厚生総合病院様|「公立病院の壁」をどう越えるか。クラウドファンディングで実現した、地域医療の新しいかたち
桐生厚生総合病院
公的・国
物品購入
400~599床
単年で病院クラウドファンディングが60件、10億円を突破した2025年。最新データと成功事例が示唆する5つの法則。
すべて見る