INTERVIEW
宮崎県済生会日向病院
〜199床
社会福祉法人
物品購入
2024/10/28 00:24

宮崎県済生会日向病院 事務長 猪倉 裕永 様にクラウドファンディング実施の経緯とその後の反響を伺いました。
宮崎県済生会日向病院
宮崎県・病床数199 床・職員数305人
クラウドファンディングプロジェクト
資金の使い道:MRI購入費用の一部
動機
MRIの更新費用(総額約2億円)の一部の補填
全職員をあげて取り組むことでのアフターコロナの院内活性化
成果
職員間のつながりを活性化できた
地域に病院の取り組みを発信する機会を得ることができた
目標金額の達成という成功体験を味わうことができた
ー済生会日向病院様はどのような特色をお持ちでしょうか?
済生会日向病院は、宮崎県北部に位置する人口約1万6千人の門川町にあります。日向入郷医療圏に在籍しており、この地域では唯一の公的医療機関として60年以上診療を行ってきました。
ーどのような課題をお持ちだったのでしょうか?
2023年度の事業計画でMRI更新の計画があり、多額の更新費用が必要でした。また、多くの職員で取り組む研修活動や、毎年のように実施していた院内のあらゆるイベントがコロナ禍で中止となり、職員間の繋がりが希薄になっているように感じていました。
ーその中で、クラウドファンディングにご関心をお持ちになったきっかけを教えてください。
国立科学博物館のクラウドファンディングのニュースを見たことがきっかけです。
その頃、済生会の法人本部から、済生会のいくつかの病院がクラウドファンディングを行っていることや、済生会本部がREADYFORと業務提携を結びクラウドファンディング企画を募る話を聞き、当院でも検討を始めました。また、同じ九州のいくつかの病院がクラウドファンディングに取り組んでいるとも聞きました。
病院が少しでも明るくなれば、という想いがありまして、アフターコロナの院内活性化を目標にクラウドファンディングを行うことにいたしました。
クラウドファンディングは一部の職員のみで行う取り組みではなく、病院全体で、また多職種で協力して取り組む必要があるため自ずと活性化につながるものと考えました。
また、何か具体的な目標(数値化された)に向かって取り組むことがここ数年間できていなかったと感じ、目標をクリアする達成感、成功体験が組織作りに効果的とも感じました。みんなと喜びを分かち合える事ができれば素晴らしいと思います。
ークラウドファンディングの実施に向けてどのように準備を進めていきましたか?
MRI更新の一部費用をテーマとしたクラウドファンディングの実施について院内の決裁をとった後に、済生会本部の企画に応募し、本格的に準備を開始しました。
まずは、クラウドファンディングのプロジェクトチームのメンバーを、すべての部署から選出しました。
各部署の所属長様に、クラウドファンディングのプロジェクトメンバーとして加わってもらい、READYFORとのキックオフ会議を開催。その後は、役職や部署に関係なく、積極的に活動に協力できる方を、コアメンバーとして選出しました。
事務長である私自身はあえてプロジェクトリーダーにはならず、MRIを管理する放射線科の主任にお願いしました。私は裏方で支える立場となり、あくまでも「職員中心」でこの取り組みを行う環境を作りたいと考えたからです。
その後はプロジェクトリーダーとコアメンバーが中心となって、READYFORとの会議を行い、なるべく多くの職員に協力していただけるよう協議しました。
ーなぜクラウドファンディングが成功したと思いますか?
成功要因は、大きく3つです。
まず1つ目は、当院が「60年以上地域の医療を支えてきた実績に対する感謝」をお寄せいただいたことだと思います。実際、「〇〇先生に手術をしてもらい命を助けてもらった」「長年かかりつけの病院で感謝しています」など、多くの皆様から大変ありがたいお言葉を頂戴しました。
直接病院の受付窓口へ寄付をお持ちになり、当院に対して「がんばってください」と励ましのお言葉を掛けてくださる方もいらっしゃいました。日頃の診療に対するお礼のお言葉をいただいた際は、心から嬉しい気持ちになりました。
次に2つ目が、「地元企業に対しての健康診断事業」を実施していたことです。
この地域では当院が最も多く企業の健康診断を行ってきました。多くの企業様から感謝の言葉をいただきましたが、中でも高額の寄付をくださった建設会社の社長様からは「我々企業も、地域に対して貢献をしたいという気持ちは常に持っています。今回のクラウドファンディングのように、地域医療に貢献する目的の寄付は大変有意義であると思います。日向病院はこの地域の医療になくてはならない存在で、喜んで寄付をさせていただきます」というお言葉をいただきました。
私たちが住んでいる小さな町でも、経営者の方々は社会貢献を常に考えているということに改めて感心しました。企業の他にも、地元の商工会や建設協会の事務所等にも積極的に訪問し、所属する団体・企業の紹介をしていただきました。その結果、ご紹介いただいた企業様から多くの寄付金をいただくことができ、目標をはるかに上回る寄付金額となりました。

ークラウドファンディングプロジェクトの支援募集にはどのような広報活動を行いましたか?
当院では広報担当者が中心となり、職員を巻き込む形で積極的に広報活動を行いました。これが、成功した要因の3つ目になると思っています。
たとえば当院のホームページにクラウドファンディング専用の特設バナーとページを作り、クラウドファンディングの目的や病院の紹介、MRIの説明といった情報発信をしました。
またインスタグラムでも専用アカウントを設け、寄付金額が一定の金額に達するたびに病院内の各部署で記念写真を撮りアップしていきました。

(済生会日向病院様 公式インスタグラムより)
また、その他の広報活動としては、地元のケーブルテレビやラジオに出演し、新聞等メディアの取材も受け、より多くの方に知っていただけるよう取り組みました。
プロジェクトを始めた当初は、当院の院長も「目標金額が集まるだろうか」と不安も抱いておりましたが、院長自らが高額寄付のお礼にと積極的に挨拶にも赴きまして、クラウドファンディングプロジェクトを推進してまいりました。

病院を訪れる患者様やご家族様に対しては、病院のエントランスに寄付受付コーナーを設けて広報発信をしました。ちょうど実施していた時期が12月でしたので、支援者の皆様からいただいた応援メッセージでクリスマスツリーを作成し、外来の一番目立つところに展示しました。結果的に多くの方々の目に留めていただいたと思います。
職員に対しては、出退勤で通る更衣室前の廊下に職員向けの展示コーナーを設置し、寄付の状況や、インスタグラムで使用した写真を掲示し、随時アップしていきました。

ー達成へ向けて、READYFORからは具体的にどのようなサポートがありましたか?
READYFORさんから提供いただいた「広報先棚卸シート」は大変便利でした。シートをもとに職員間で役割分担し、チラシの配布漏れがないかや、個別の知り合いに連絡を行ったかなど、職員で共有するために大いに活用させていただきました。また今後のスケジュールや施策事例など、時系列で取り組むことがわかる内容になっており大変役立ちました。
当院にとってクラウドファンディングは初めての取り組みでしたし、目標金額に達するまでは大変不安でしたが、その都度、READYFORの専任の担当者さんからアドバイスをいただき、その結果、目標を達成できたことに大変感謝しております。
ークラウドファンディングに実際に取り組んでみての感想をお聞かせください
クラウドファンディングの取り組みは、単に寄付を集めることだけではないと感じました。
「地域に病院の取り組みを発信する機会を得ることができる」「職員間のつながりを活性化できる」「目標金額を達成できた成功体験を味わうことができる」など、大変意義のある取り組みだと考えています。
ー今後、済生会日向病院様として取り組みたいこと、展望をお聞かせください
今回のクラウドファンディングを通して改めて、当院が、この地域の医療・福祉・介護を支えていく必要があることを再確認いたしました。
また職員一同で、病院の理念である「患者さんのために、良質の医療を的確・迅速に、真心を込めて提供します」というところを実践していかなければならないと感じています。
※本記事は2024年2月にREADYFORが共催した「病院広報アワード2024プレイベント」でのご講演を元にしております。済生会日向病院様のご講演のアーカイブはこちら
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