INTERVIEW
社会福祉法人恩賜財団 済生会
社会福祉法人
物品購入
設備改修
地域福祉活動
2025/05/12 01:00

多くの病院が直面する厳しい経営環境の中、法人全体で累計4億7千万円以上ものご寄付を集めた済生会様。なぜ済生会様がクラウドファンディングに取り組むのか。今回は、済生会 理事の松原了先生、本部事務局 次長 渡邉世祐 様に、クラウドファンディングの取り組みやその意義についてお話を伺いました。
社会福祉法人恩賜財団 済生会
全国に83の病院と400余の社会福祉施設等を有する日本最大の医療福祉団体。近年の複雑化、多様化する地域課題と向き合う中で、医療・福祉に留まらず、誰一人取り残されない社会の実現を目指し、人と人のつながりを再構築するソーシャルインクルージョンのまちづくりへの活動も展開。
2023年3月にREADYFOR株式会社と業務提携。これまで累計24件のプロジェクトを公開し、寄付総額は4.7億円超となっている(※2025年3月時点)。
目次
ー まず、済生会様についてご紹介いただけますでしょうか?
松原様
済生会は、全国40都道府県に展開し、83病院と400の事業所を運営しており、約6万6,000人の職員が働いております。在宅医療、訪問看護、福祉事業、また障がい者支援事業など、医療・福祉・介護の総合的事業を行っております。

渡邉様
無料または減額で診療を行う無料低額診療事業、ホームレスや家庭内暴力(DV)の被害者、刑務所出所者、生活困窮者を支援する生活困窮者支援事業、障がい者の就労支援、さらにはソーシャルインクルージョンの実現を目指す、という点も特徴的です。
また日本唯一の巡行診療船「済生丸」を運航し、瀬戸内海の離島住民に診療・検診を提供しています。
― 済生会様は、なぜクラウドファンディングに着目されたのでしょうか?
渡邉様
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、医療機関を利用する国民の受療行動が大きく変化し、外来診療、入院ともに患者数は減少傾向にあります。
済生会は地域の患者さんへ質の高い医療を提供するほか、僻地医療や収益性の低い公的医療も積極的に行う法人です。特に「ソーシャルインクルージョン」の実現を合言葉に、DV被害者や生活困窮者の受け入れを積極的に行い、無料低額診療事業も実施しています。

松原様
昨今、医療・福祉・介護業界における経営環境は非常に厳しい状況です。特に、昨今の診療報酬改定や医療材料費、エネルギーコストの高騰による負担は軽視できず、たとえ収支が均衡していたとしても、医療機器の更新や施設の老朽化対策に充てる余裕がほとんどない状況です。
渡邉様
そのような中で、本部事務局内では、社会福祉法人としての寄付活動をどう進めるべきか議論が行われました。その結果、クラウドファンディングを単なる活動資金の調達手段としてだけではなく、済生会の活動を知っていただき、共感・支援していただける方々と繋がる機会として活用することを決め、READYFOR社との業務提携に踏み切りました。
ークラウドファンディング事業者の中で、READYFORを選ばれた決め手は何でしたか?
渡邉様
第一に、READYFOR社は日本初・国内最大級のクラウドファンディングプラットフォームであり、医療・福祉分野での経験も豊富である点が信頼できました。また、初めて取り組む病院でも安心してプロジェクトを進められるよう、サポート体制が整っている点も大きな決め手でした。多くの病院職員が業務を行いながら手続きを進めていくことは大変な事なので、こうした支援体制は非常にありがたかったです。
また、提携前の2021年に、済生会長崎病院がREADYFOR社を通じて救急車の買い替え資金を集めており、済生会長崎病院へのヒアリング結果も参考にしました。
提携後は、済生会の職員向けのセミナーを開催していただき、各病院が「クラウドファンディングの仕組み、メリット、事例」について理解を深めることができました。また病院がクラウドファンディングの実施を決めたあとも、テーマ設計から寄付募集ページの準備などに至るまで、READYFOR社に伴走していただきました。
ー 済生会様では累計24施設様がプロジェクトを実施されています。臨床に関わるテーマが多いのでしょうか?
渡邉様
そうですね。救急車の買い替え、カテーテル室の増室や緩和ケア病棟の改修、手術支援ロボットの導入費など、基本的には地域医療を支えるための設備更新が主なものですが、それだけにとどまりません。
済生会はソーシャルインクルージョンの実現にも取り組んでいますので、例えば済生会小樽病院では地域の農園づくりの費用として寄付を集めたケースもありました。

(済生会様によるプロジェクト一部抜粋)
ー地域福祉に至るまで様々なテーマで挑戦されているのですね。どのくらいのご寄付が集まっているのでしょうか?
松原様
初めてクラウドファンディングで資金調達をした際は、本当に集まるのだろうか?と不安もありましたが、全国24施設が実施しすべてのプロジェクトが成立しており、目標金額2.9億円を大きく上回るご寄付をいただいております。
渡邉様
済生会の年間の寄付目標額が2億円ということを考えると、非常に多くのご寄付をいただいたことに感謝したいと思います。

ー済生会様にとって、クラウドファンディングに取り組む意義とは何でしょうか?
松原様
先ほど申し上げた通り多くのご寄付をいただいたという資金調達面もございますが、それだけではないと感じています。
それは「職員が1つの心になることを一層強められた」ということです。テーマを決めたり、職員が自ら地域の方や患者さん、企業さんに説明をして寄付を集める過程の中で、それぞれ主体的に自分たちの施設やサービスについて見直す機会となり、職員自身の意識改革につながりました。また、寄付集めをしていくことが、地域への有効な広報発信にもなっていることに、職員自らが気がついたという点もあります。さらに、職員に「やればできる」という自信が芽生え、職場全体の士気が高まったとも感じています。
ー最後に、これからクラウドファンディングに挑戦しようという病院様にメッセージをお願いします。
渡邉様
今後も人口減少と超高齢化が進む中で、医療・福祉・介護を取り巻く環境の厳しさは変わらないでしょう。診療報酬や介護報酬だけで事業を維持するのは困難な時代です。そうした中で、クラウドファンディングは事業を継続し発展させるための有効な手段の1つになると思います。
最後になりますが、これまで済生会で実施したプロジェクトには、法人・個人合わせて5,000を超える寄付申込がありました。これだけ多くの方々から済生会の活動にご支援をいただいたことに改めて感謝申し上げます。
※本記事は、2024年12月にREADYFORが主催した「病院の新たな経営・広報戦略!済生会に聞く、法人全体でクラウドファンディングに取り組む意義」でのご講演を元にしております。済生会 松原様、渡邉様のご講演アーカイブのお申込はこちらhttps://cfevent.readyfor.jp/medical/202412/archive
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