INTERVIEW

岡山旭東病院様|岡山の未来の医療を守りたい。地域で愛される病院を目指して

公益財団法人操風会岡山旭東病院

  • 200〜399床

  • 公益法人

  • 物品購入

2024/10/25 10:24

岡山旭東病院 診療技術部リハビリテーション課 課長 新谷修平様、事務部 企画課主任 井上朝美様にクラウドファンディング実施の経緯やその後の反響を伺いました。

公益財団法人操風会岡山旭東病院


岡山県・病床数214 床・職員数504人

クラウドファンディングプロジェクト


動機


当初は外来診察待ち時間の短縮を目的とした診察のネット予約システム導入を検討していましたが、当院の利用者の多くが高齢の方であること、予約システムでは病院側の業務効率化の目的が目立ち、共感が得られにくい可能性があるという点から「共感が得やすく、地域の方が理解しやすいテーマ」を模索した結果、MRI機器の更新をテーマに選びました。
また、法人が創立70周年という節目の年を迎えていたため、当財団の存在意義などを広報するきっかけにしたいという思いもありました。

成果  


最終的には300名を超える方々から2,000万円以上のご寄付と、多くの応援メッセージをいただくことができました。
はじめは、職員間で挑戦に対する温度差があり支援にもつながらず苦戦をしました。しかし、多くの職員を巻き込み、病院全体で盛り上げるよう努めたことで一体感が高まり、支援も増えていきました。結果的には挑戦することでしか得られない価値があったと感じています。


IT化推進によって資金調達が課題に

ー岡山旭東病院様はどのような特色をお持ちでしょうか?

岡山旭東病院は、脳・神経・運動器疾患の専門的な病院として地域の中核的な医療を担ってきました。近年では、病院の経営方針としてIT化を進めています。

例えば、インカム、PHR、AI問診、ベッドサイド情報端末等を導入しました。また、病院公式スマホアプリ「旭東San」の開発も行いました。

ーどのような経営課題をお持ちだったのでしょうか?

経営方針としてIT化を進める中で業務の効率化を実現してきましたが、IT導入に伴う資金調達は課題になっていました。診療報酬で決められた収入の中で高額なIT関連の資金を捻出し続けていくことに課題感をもっていました。


創立70周年の節目の年。地域に対して感謝と当院の思いを伝えたい

ーその中で、クラウドファンディングにご関心をお持ちになったきっかけを教えてください。

2023年は操風会として創立70年の節目の年でした。そこで、この機会に地域の方々への感謝を伝えるとともに、当院が取り組んできた医療への思いをより広く知っていただきたいと考えていました。同時に、患者さんに喜ばれるサービスを提供したいという願いがあり、これらの願いを叶える方法としてクラウドファンディングに注目しました。

IT化関連ではなく別のテーマ。経営層の賛同が得られたことも大きな推進力に

ークラウドファンディングの実施に向けてどのように準備を進めていきましたか?

2023年3月頃に、クラウドファンディング挑戦に賛同するスタッフを集めて、院内で「チームクラファン」を結成しました。そして、医療での実績があるREADYFORさんにサポートを依頼しました。

最初に課題になったのはテーマの選定でした。当初、外来診察待ち時間の短縮を目的とした診察のネット予約システムというIT関連のプロジェクトを考えていましたが、「当院の利用者の多くは70歳以上の高齢の方であること、また、予約システムでは病院側の業務効率化の目的を感じること、また、病院の特色や強みが伝わりにくいことなどの理由から、共感が得られにくいのでは」とREADYFORさんからアドバイスをいただきました。

「共感が得られやすく、地域の方が理解しやすいテーマ」を模索した結果、もともと購入予定にしていた中から当院の専門領域の診断に欠かせないMRI機器の更新をテーマ(資金使途)にすることにしました。

当院は、24時間365日MRI検査に対応しており、地域の画像センター機能を担っています。また、脳・神経・運動器疾患を専門とする当院にとってMRI検査は欠かせないものです。そこで、クラウドファンディングで支援募集をするとともに、岡山県で最初に超電導磁石式MRIを導入したことや脳ドックを開始したことなどを伝える機会にもなるとストーリーを考えていきました。

2023年4月にMRIに関わる担当責任者、営業管理者、経理責任者を「チームクラファン」に追加招集し、READYFORさんと共に目標金額や募集期間を検討していきました。

翌月の病院の経営会議でクラウドファンディングの挑戦についてプレゼンを行い、承認を得ました。会議の中で、院長、総院長(前任院長)、理事長(前任副院長)からも賛同が得られたことは大きな推進力になりました。

その後、7月1日から8月31日までの60日間で1500万円の支援を目指しプロジェクトを進めていきました。

(岡山旭東病院様のクラウドファンディングプロジェクト)

岡山旭東病院様のクラウドファンディングプロジェクト


公開後1ヶ月は低空飛行も、工夫を重ねてラスト1週間で達成へ

ークラウドファンディングプロジェクトの支援募集にはどのような広報活動を行いましたか?

病院ホームページのトップページに目立つよう掲載したほか、院内にバナースタンドを設置し、掲示板、チラシ、ポスターなどで広報をしていきました。対メディアについては、県下でクラウドファンディング実施病院が4例目だったこともあり、簡単には取り上げてもらえなかったのですが、なんとかテレビ局と新聞社1社に取材していただきました。

そのほか、副院長が夏の挨拶回りに合わせて近隣の開業医に訪問したり、総院長と地域医療サポート室長がMRI紹介元に20~30件訪問するなどして直接依頼する機会を多く作っていきました。

公開前からできる限りの準備をしていたのですが、公開から1ヶ月間は支援が伸びず低空飛行が続きました。

その中で、「MRIの更新」というテーマでは、関連しない職員に共感が得られていない、ストーリーが複雑で説明がし難いという状況がみえてきました。

そこで、「当院の医療が患者さんや地域の方に必要とされているのか」を問うことを目的に、「岡山の”未来”の医療を守りたい!」と掲げ、MRIという「モノ」への支援ではなく、当院そのものへの支援にメッセージを変更していきました。それから、MRIに直接関係しない職員からも「応援メッセージだけでもいただけますか?」と呼びかけるようになり、「それなら支援するよ!」と実際の支援につながるようになっていきました。

さらに、職員の意識改革を進め、クラウドファンディングページの活動報告写真に様々な職種に登場してもらうなど、職員を主体者にしていくことに努めていきました。

このような工夫を重ね、ラスト1週間で目標金額に到達することができました。

(クラウドファンディングプロジェクト 活動報告より)

クラウドファンディングプロジェクト 活動報告より)

失敗してもいい、できる行動をやり切る

ークラウドファンディングに実際に取り組んでみての感想をお聞かせください

クラウドファンディングの成功には経営者の協力や実働するメンバーの行動力、何より1人でも多くの職員の共感と協力が不可欠でした。また、「失敗してもいいから、できる行動をやり切る」ことも大事だと実感しました。新しいことへの挑戦だったため何度も困難の壁に直面しましたが、その都度READYFORさんが進むべき道を示してくださったので乗り越えることができたと感じています。

多くの困難を乗り越えて達成ができ、最終的に病院全体の一体感を感じる経験ができたため、挑戦することに価値があったと思っています。

ークラウドファンディングを経てどのような効果をお感じになりましたか?

クラウドファンディングを通じて、本当に多くの応援メッセージが届きました。サイトからはもちろん、直接、病院宛にメッセージをくださった方もおられ、それらのメッセージにはお金以上の価値を感じました。いただいた応援メッセージや進捗状況を共有したり、達成やカウントダウンを伝える職員写真を撮影したりする中で、職員の意識が少しずつ変化していったのを感じました。

(岡山旭東病院様 ご講演資料より)

(岡山旭東病院様 ご講演資料より)


ー今後、岡山旭東病院様として取り組みたいこと、展望をお聞かせください

クラウドファンディングの挑戦を通して、多くのご支援とメッセージをいただいたことで、改めて当院が地域から必要とされ、愛されていることを実感できました。これまで以上に、地域に必要とされる医療を提供できるよう努めていきたいと思っています。また、職員の主体的な行動と一体感が何より病院のチカラになっていたため、皆の意欲を向上していける挑戦を今後も続けていきたいと思います。

今回のクラウドファンディング実施後におこなった職員アンケートでは約60%が「満足」と回答しました。「将来、再度クラウドファンディングに挑戦する場合協力したいか」という質問には、約40%が協力したい、50%が分からないとの回答でした。分からないと回答した半数の職員の協力を得られるように働きかけることが、次に挑戦する際の課題だと思っています。

※本記事は2023年12月にREADYFORが共催した「病院マーケティングサミット2023」でのご講演を元にしております。


岡山旭東病院様によるご講演のアーカイブはこちら


https://cfevent.readyfor.jp/medical/mktsummit/202401/archive


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