NPO法人わんにゃんレスキューOHANA様|シェルター × フリースクールという新たな挑戦。積み上がる支援に勇気をもらった、クラウドファンディングの裏側
2025/09/22

今回は、茨城県神栖市で活動する『NPO法人わんにゃんレスキューOHANA』代表の松本恵美様に、今年クラウドファンディングで約2170万円のご支援を集められた挑戦の舞台裏についてお伺いしました。不安でいっぱいだった開始前から、どのようにメンバーを巻き込み、ご支援を力に変えていったのかーー。その心境の変化や、今後の活動について思うことを語っていただきました。
実施されたクラウドファンディングプロジェクト
クラウドファンディングプロジェクト(2025年1月〜3月)
神栖から収容犬をゼロに。野犬と子どもがともに成長する居場所の開設へ
継続寄付プロジェクト(2025年7月〜現在)
神栖からセンターへの収容犬をゼロに|OHANAサポーター募集中!
目次
ーまずは簡単に団体の活動内容を教えていただけますか?
私たちは茨城県神栖市を中心に、野犬の捕獲・保護を行っている団体です。捕獲後は必要な医療を施し、シェルターでトレーニングを行い、一般家庭へと丁寧に譲渡しています。不妊去勢手術や適性飼育の啓発活動にも注力し、収容を余儀なくされる野犬を根本からなくすために日々活動しています。
また、OHANAでは小中学生のボランティアも活躍してくれています。私自身、昔から福祉分野に興味があったため、野犬の保護活動をしながら社会生活に馴染めない子どもたちのサポートもしてきました。

(NPO法人わんにゃんレスキューOHANA 代表の松本恵美様にお話を伺いました。)
ー今回のクラウドファンディングの資金使途である「新OHANAハウス」はどんな場所なのですか?
「新OHANAハウス」は、犬のシェルターと子どもたちのフリースクールをかけ合わせた新しい拠点です。
野犬は猫と違ってTNRが難しいため、捕獲したら必ず保護する場所が必要になります。これまでは私の自宅を全面的にシェルターとして使いつつ、ボランティアさんのお宅を合わせてなんとか10〜15頭を保護している状況で、「もっと広い場所が必要だ」という課題をずっと抱えていました。
また私自身、OHANAの活動を始めた当初から「福祉を絡めた活動をしたい」という想いを抱いていて。活動を通して学校に行けない子どもたちと接する中で、「子どもたちが自分らしく成長できる居場所と、犬たちの保護活動を一緒にできる拠点があったらいいな」というアイデアがずっと心の中にありました。

(OHANAで活躍する小中学生のボランティア、通称「OHANAキッズ」)
しかしそのアイデアを実現させるためには、当然多くの資金が必要で、なかなか実現には至っていませんでした。
ーそこでクラウドファンディングに挑戦することになったのですね?
はい。これまでも個人的な寄付を集めたり、イベントで啓発活動や募金箱を設置したり…と地道な資金集めはしてきましたが、まとまった資金をつくるには程遠く、時間だけが過ぎていきました。けれども、時間が経てば経つほど、野犬は増えていく一方です。
そこでメンバーとも相談し、クラウドファンディングを試してみようかという話になり、1年半ほど前にREADYFORさんに問い合わせをしました。
ー問い合わせをいただいた後、すぐにご挑戦というわけではなかったのですね。
なかなか一歩を踏み出せずにいました。クラウドファンディングという仕組みを使うこと自体に抵抗はなかったんです。でも「本当に集まるのかな?」「もし失敗したら格好悪い」という不安と自分のプライドが先行してしまって、なかなか覚悟が決まりませんでした。
どうしようかと迷いながら捕獲活動にエネルギーを向ける日々を送っていましたが、捕獲して保護する子が増えるたびに、やはり「場所がない」という課題に直面し、挑戦する覚悟を決めました。

(捕獲活動の様子)
ー準備期間中に特に印象的だったことはありますか?
READYFORのキュレーターさんとのミーティングは毎回とても印象に残っています。「広い場所が欲しい」という想いだけで走り出しましたが、正直にいうと準備を進めながらもまだどこかで「やりたくない」と思っている自分がいました。けれど、キュレーターさんから「単なるお金集めではなく、その先の未来のためだと思って取り組みましょう」という言葉をいただいて、だんだんと自分の気持ちを切り替えていきましたね。
クラウドファンディングのページをつくる過程も印象的でした。キュレーターさんが、私たちの活動にかける想いをこまかく聞いて、丁寧にまとめてくださったのですが、できあがった文章を読んで「私たちのやりたいことは、まさにこれだ!」と、で驚きました。
日々の活動に向き合っていると、自分たちの想いを言葉としてまとめる機会は少ないですが、クラウドファンディングのメッセージをつくり込むことが、自分たちの活動意義を見つめ直す機会にもなりました。キュレーターさんの存在があったから、私たちの意識も高まったし、メンバーがひとつになれたと感じています。
ークラウドファンディングのチーム体制はどのように組まれていたのでしょうか?
NPOの理事を中心に6、7人のチームをつくりました。みんな、クラウドファンディングで支援を募ることの必要性をよく理解して、ポジティブに取り組んでくれました。
私自身はお金のことは苦手なタイプで、これまでは口にすることも少なかったのですが、やはりクラウドファンディングとなると、そうもいかない。一部のメンバーからは「お金のことばっかり言って、犬ファーストじゃない」という言葉をもらうこともありました。「代表として自分自身がどういう発信をしていくべきか」と考えるきっかけにもなりましたね。
もちろん、ものすごく協力してくれるメンバーも出てきて、「こんなにたくさんの仲間がチームワークを発揮して動いてくれるんだ」と正直驚きました。メンバーひとりひとりのやる気や熱意を知ることができた、良い機会でもあったと思います。

(活動の様子)
ークラウドファンディングがスタートしてからはどんな大変さがありましたか?
まずは700〜800通の手紙を出すことから始まりました。ご支援を集める広報活動は、正直、全部大変でした(笑)。でも何千万円というお金をいただくということは、自分で働いて稼ぐこととは全く違う重みがありますから、大変なのは当たり前だと思って取り組みました。
キュレーターさんからの「このタイミングでこんなことをやるといいよ」というアドバイスには常に助けていただきました。数字の分析をもとに適切な提案をしてくれたからこそ、私たちも「じゃあやってみようか」と、納得しながら実行に移せましたし、それが支援にも繋がりました。
ー開始前の不安な気持ちはどのように変化していったのでしょうか?
実はクラウドファンディングが開始してからも、まだどこかで「やりたくない」という気持ちを抱えながら走っていました。1500万円の目標金額に近づくにつれて、「こんなんじゃダメだ」「これだけの人が支援してくれているのに、私が怖がっていたら申し訳ない」と思い始めました。
残り期間あと約2週間というタイミングで1500万円を達成して、ようやく資金が手元に入ることが分かってから、「ここまで来たらやろう」と、覚悟が決まった形でした。最終的には21,769,000円という本当に大きなご支援が集まりました。

(クラウドファンディングページより)
ーだんだんと積み上がるご支援が、松本さんの気持ちを奮い立たせたんですね。
金額はもちろんのこと、支援してくださった方々の人数も、私に大きな勇気をくれました。夜な夜な、支援者の方々からのメッセージを何回も読み直して、「これは私のやりたいことだけど、みんなのやりたいことでもあるんだな」と実感しました。目標金額を達成したときのことは、何度思い出しても鳥肌が立ちます。
本当にみなさんのおかげだと感謝していますし、だからこそ「もう1円も無駄にしないようにしていかなくちゃいけない」と、良い意味でプレッシャーも感じています。

(クラウドファンディングページ内、活動報告より)
ークラウドファンディングに取り組んで、資金調達以外に何か効果はありましたか?
地域や行政の方々に活動を知っていただくことができて、犬や猫の保護依頼などの相談がたくさん来るようになりました。クラウドファンディングのページに市長からの応援メッセージをいただいていたことがきっかけで、市内の公共施設にイベントのチラシなどを貼らせてもらえるようになって、周知活動の幅を広げることもできました。
またクラウドファンディングを通して外からの支援がこれだけ集まったということは、自分たちの地域が抱える課題の深刻さを意味することにもなります。地域の意識を変えるきっかけにもなったと感じています。

(クラウドファンディング実施後、神栖市動物愛護協議会で初めて開催された譲渡会)
ー現在、継続寄付のプロジェクトも実施中ですが、そちらはどんな取り組みなのですか?
野犬たちの捕獲費用を集めるために、「OHANAサポーター」という形での継続的なご支援を募集しています。
私たちは保護する犬を選べません。毎回の捕獲活動にはお金が必要ですし、譲渡までにどのくらいの費用がかかるかも、分からない。「神栖市の野犬収容ゼロ」を目指して活動を続けるためには、継続的なご支援が不可欠です。
これまでも、会員の方から寄付をいただいたり、募金箱を置いたり、出費を抑えたり…とやりくりしてきたのですが、今回クラウドファンディングで繋がった新しいご縁を次に繋げるためにも、「継続寄付サービス」をツールの一つとして活用することにしました。

(継続寄付プロジェクトページより)
ー最後に、開設に向けて走り出した「新OHANAハウス」の今後の展開を教えてください。
これまでは私の家が活動拠点でしたが、「新OHANAハウス」が完成したらスペースが広くなるので、保護活動に加えて、今までできなかったさまざまな活動にチャレンジしていきたいと思っています。
ペットホテルやペットシッターなどの事業を展開することで、自分たちでお金を生み出すことにも繋げたいと考えています。カフェを併設したり、部屋や展示棚の貸し出しをしたりして、いろいろなメンバーが活躍できる仕組みもつくりたいです。
子どもたちにカフェの店員さんとして働いてもらったり、資格取得のサポートをしたり、関われる活動ももっと幅を広げて、彼らが未来を切り開いていけるように展開していきたいです。
ーこれからのOHANAさんの活動、ますます目が離せませんね…!
本当に夢が広がります。これもクラウドファンディングでみなさんからのご支援をいただいたおかげです。本当にありがとうございました。

(クラウドファンディングページ内、活動報告より)
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