公益社団法人アニマル・ドネーション様|難易度が高いといわれる「中間支援団体のクラウドファンディング」、その成功の鍵とは?  

公益社団法人アニマル・ドネーション様|難易度が高いといわれる「中間支援団体のクラウドファンディング」、その成功の鍵とは?  

2025/11/28

動物福祉の推進を使命に、2011年のサイトローンチ以来、寄付者と動物関連団体をマッチングさせてきた公益社団法人アニマル・ドネーション(アニドネ)様。独自の寄付プラットフォームを運営しながらも、活動開始から10年以上を経て初めてクラウドファンディングに挑戦し、2回連続で目標の2倍を超える金額を達成されました。その背景には、多頭飼育崩壊という緊急の課題と、活動の認知拡大を戦略的に行うという目的がありました。

この記事では、中間支援組織として活動するアニドネ様の活動変遷と、クラウドファンディング挑戦の舞台裏、また、クラウドファンディングを通じて得られたことや今後の展望について、代表の西平衣里様にお話を伺いました。

(代表の西平衣里様)


実施されたクラウドファンディングプロジェクト

アニドネ|1000頭の救出を支えた多頭飼育崩壊の緊急基金 再開へ!
(2023年11月〜12月)

相次ぐ多頭飼育崩壊から犬猫を救う。アニドネ緊急支援基金の継続へ
(2025年1月〜2月)


目次

寄付マッチングから「現場のSOS」へ:15年の活動変遷

──まずは簡単に団体の活動内容について教えていただけますか。

私たちアニマル・ドネーションは、「日本の動物福祉を世界トップレベルにして、人々の意識と行動、社会の仕組みを、やさしく変えていく。」をミッションに掲げ、寄付サイトの運営、情報共有や定期的な勉強会を通じた認定団体のサポート、「人と動物の共生」を考え社会に広める啓発活動を中心に活動を行っています。

また、2020年には多頭飼育崩壊に特化した「アニドネ緊急支援基金」を立ち上げ、賛同してくださる企業や一般の方からの寄付をもとに、不遇な環境にある犬や猫を救う活動を支援しています。

2015年には内閣府より「公益社団法人」として認められ、2021年には紺綬褒章認定法人に認定されました。

──立ち上げから15年で、寄付集めの手段はどのように変化してきたのでしょうか?

2011年に“動物福祉をなんとかして変えよう”という思いでサイトをローンチしたのですが、当時はクレジットカードでの寄付が今ほど一般的ではなく、様々なところに交渉しある一箇所が受け入れてくれたんです。そこから寄付したい人と受け取りたい側をマッチングするサイトの運営がはじまりました。

その後、支援のカテゴリーが徐々に増え、現在は「保護団体」「介在団体」「伴侶団体」「啓発団体」の4つのカテゴリーがあり、支援団体は46団体(*2025年11月末時点)になりました 。当初は個人からの寄付マッチングサイトをイメージしていましたが、実際は「どこに寄付していいかわからない」という課題が企業にもあり、現在、実は約6割(※金額ベース)が企業からの寄付になっています。

──寄付の呼びかけについては、どのようなアプローチをされてきたのでしょうか?

私たちは公益社団法人ですが、営業職のスタッフがいるわけではありません。基本的には、サイトを通じていただく寄付やお問い合わせに、一件一件丁寧に対応している状況です。

広報活動は、お金をかけてそこまで頑張れてはいないのですが、15年間活動を続けたことで継続して寄付してくださる方も増え、さらに寄付者の方がご紹介くださることもあります。

企業からの寄付は「なぜ寄付が必要かわからない」というところから始まることも多く、企業向けの勉強会を開き、動物福祉の現状や課題を社員の方にも考えてもらうことを頻繁に行っています。


現場の悲鳴に応えるために設立した多頭飼育崩壊に特化した「緊急支援基金」。
しかし、すぐに現場は「待ったなし」の状況に......。

──2023年に1回目のクラウドファンディングを実施されました。独自に寄付プラットフォームをお持ちの中で、あえてREADYFORでクラウドファンディングを行うことにした理由を教えてください。

私たちは日頃から支援先団体との情報共有を密にするよう努力しています。主にボランティアであるアニドネリサーチャー(※)という担当窓口で、団体が困っていることを吸い上げてもらうようお願いしているのですが、2018~2019年頃から「多頭飼育崩壊」という言葉を聞くようになり、現場の悲惨な状況を目の当たりにしました。

※アニドネリサーチャーとは、動物関連団体を丁寧にリサーチし、寄付の届け先を見つけ出す重要な使命を果たしています。

私もなるべく現場に行くようにしていますが、飼い主さんだけではどうにもならない状況に、何か手を打たなければならないと考え、2020年に多頭飼育崩壊からのレスキュー支援を目的とした「緊急支援基金」を設立しました。

メルマガでの告知や企業へのアプローチをしてこの問題に本格的に取り組む中で、それらに追いつかないスピードで認定団体から申請が殺到し、基金が底を尽きてしまったのです。

「とにかくなんとかしないと......」という気持ちで、短期的に資金を集められるのがクラファンではないかと考えたのが実施理由の一つです。

緊急支援基金では、1頭のレスキューあたり1万円の寄付金を届けているのですが、(もちろん1万円では足りない現状はありつつ)「少しでも支援があることでレスキューをもう少しがんばれる」という現場で踏ん張る保護団体さんの声もあって。その支援が止まってしまうと団体に伝えると、とてもショックを受けていました。

猫の多頭飼育崩壊現場。(写真提供:特定非営利活動法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道)

(猫の多頭飼育崩壊現場。(写真提供:特定非営利活動法人 猫と人を繋ぐツキネコ北海道))

緊急性だけではない、
クラウドファンディングで得られた“チームの結束”。

──クラウドファンディングは前々からご存知だったと思いますが、このタイミングで実施されたのは、やはり緊急性が高かったのですね。資金調達以外の側面で何か副次的な効果はありましたか?

もともと、資金集めの目的と同時にアニドネの活動を知ってもらうというPRの側面があると考えていました。

詳細な分析はできていませんが、実際にこのクラウドファンディング挑戦期間に、私たちのマンスリー寄付者が増えるといった効果は明らかにあったと思います。

──1回目のクラウドファンディング成功後、2年後(今年)にも2回目の挑戦を実施されましたよね。その背景にはどのようなことがあったのでしょうか。

アニドネは現在46団体(*2025年11月末時点)を支援していますが、「各都道府県に少なくとも1団体はアニドネの認定団体がある状態」を目指しています。認定団体が増えていくことを考えると、当然、基金の受け入れも増やさなければならないということがあり、2回目に挑戦しようということになりました。

また、「基金が尽きる前にお金を集めなければならない」という目の前の理由だけでなく、定期的に戦略的にやった方がいいだろうという感覚もありました。一度実施すると疲労感はありますが、寄付が集まって世の中を変えていけるのであれば、定期的にやっていきたいという想いです。

あとは、多頭飼育崩壊が減っている感覚がまだなく....。社会問題として継続的に世の中に伝えていく、という必要があると思いました。団体の皆さんが現場で活動を続けるためにも、私たちも頑張ってお金を集めようという気持ちが強かったです。

2回目に実施されたクラウドファンディング

(2回目に実施されたクラウドファンディング)

──実際にクラウドファンディングをやってみて、率直なご感想はいかがですか。良かった面、大変だった面も含めてお聞かせください。

どちらかというとこれまでは受け側のスタンスで活動してきたので、「情報を発信すると響く」ということが新鮮であり、率直に嬉しいことでした。READYFORを通じて多くのこれまで関わりのなかった方々が支援や応援コメントをくださったり、そのおかげもあって、1回目も2回目の挑戦も目標の2倍を超える金額を達成できたことは新鮮な驚きでした 。

また、アニドネ内部はもちろん、普段は支援を受ける側の認定団体さんからも広がりが生まれて、チームの一体感を本当に感じることができました。認定団体さんの中にはクラウドファンディングを実施されたことがある方もいて、大変さや達成の喜びを理解してくださり、自発的に情報発信や寄付をしてくれたんです。これは、私たちが想定していなかった副次的な効果で、期間中はちょっとしたお祭りのような感じで、非常にありがたかったです。

大変だった面は、情報発信の頻度です。思った以上に手を動かさなければならず、情報発信の大変さに対して、もう少しネタや手を動かせる準備をしておけば良かったと感じました。

クラウドファンディング期間中は、認定団体さんからの応援メッセージを活動報告で紹介

(クラウドファンディング期間中は、認定団体さんからの応援メッセージを活動報告で紹介

──外部プラットフォームの利用に対して、内部や支援団体からネガティブな意見や心配の声はありましたか?

コスト面の懸念はありました。日頃から運営費も寄付で賄っているので慎重な意見も多く、正直なところ「大丈夫だろうか」という意見はありましたし、今もあると思います 。そこをどうバランス取っていくかが、中間支援団体の難しさだと感じています 。

“あえて無理を言える日”を作りにいく。
クラウドファンディングが切り拓く「一方通行ではない」繋がりの感覚

──支援してくださった方々は、どのような方が多かったですか?

READYFORのユーザーさんも多かったですし、高額なご寄付はアニドネの活動を深く理解してくれている賛同者様や、これまでの寄付者の方からもいただきました。元々寄付してくださっている方に、クラウドファンディングのお願いするのは正直気が引けると感じていたのですが、実際に寄付をいただくことができてとてもありがたく思うと同時に、「ご支援をお願いしてもいいんだ」とポジティブな発見もありました。


──日頃のアニドネさん自身のサイトでの寄付集めと、クラウドファンディングの違いは何だと捉えていらっしゃいますか? 

先ほどもお伝えしましたが、PRという側面は大きいです。広がり感が違いますし、一方通行感が一番ないかもしれません。支援してくださる方と繋がっていく感じがすごくあります。また、日頃から私たちは動物福祉の問題に取り組んでおり、多々ある問題の中で、クラファンを実施することで現在の動物問題を具体的に世の中に判りやすく伝えられることもメリットに感じました。

また、挑戦期間が決まっていることで、チーム感をあえて作りにいくこと、つまり日頃から関わってくださる方や団体さんに“無理を言える日を作ること”ができるのもいいなと感じています。

ボランティアのコミュニティの中でも、クラウドファンディング期間中はREADYFORの話題で盛り上がりました。役割の中で、クラウドファンディングに関わっていない人も含め、その大変さと意義を皆が理解してくれたと思います。

期間中は金額が動くのでやはり分かりやすく、「達成」の報告は関わっていなくても皆が嬉しいと感じてくれました。

中間支援組織だから描ける未来:「アニドネカレッジ」構想と困難な課題への挑戦

──今後どのようなことにチャレンジしていきたいですか?

情報支援の面を強化したいと考えています 。現在は、保護団体同士のミーティングなども不定期で行っており、アニドネ認定団体になると「団体としての信頼が得られる」「新しい情報が学べる」という声が団体さんからあがっています。まさに、これこそが中間支援組織の役割だと考えています。

この役割を強化するために、「アニドネカレッジ」という構想もあり、各分野の成功事例をコンテンツ化したり、企業からの寄付が多い強みを活かして、企業のリソースをいかに利用するかを提案したりするなど、中間組織ならではのネットワークを使って情報支援をやっていきたいと思っています。

また、多頭飼育崩壊やシニアの問題、地方では野犬の問題などの本当に困難な案件もあります。それらに立ち向かうために、今後もクラウドファンディングを利用させてもらいたいと考えています。

クラウドファンディングは、まさに問題提起と問題解決の両方ができるツールだと思っています。

──まだまだ取り組むべき課題が多い中で、これからのアニドネさんのご活動も応援しております。本日はありがとうございました。

保護犬・保護猫のために活動をされてる
皆さんをサポートします

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