Lien〜りあん〜様|誰にも「助けて」と言えなかった。保護犬猫施設りあんが2度のクラウドファンディングで約1,700万円を集めるまで

Lien〜りあん〜様|誰にも「助けて」と言えなかった。保護犬猫施設りあんが2度のクラウドファンディングで約1,700万円を集めるまで

2026/04/13

「医療費が例年より約100万円増の約620万円にまで膨れ上がり、施設は雨漏り。自分たちが抱え込めるキャパシティを完全に超え、このままではお店が潰れるのを待つしかない——」。

日々の業務や目の前の命を救うことに必死で、誰にも「助けて」と言えないまま限界を迎えてしまう。資金繰りに悩み、新しい施策に踏み出す余裕がないと悩みを抱える動物愛護団体様は多いのではないでしょうか。

福岡県北九州市で保護猫カフェや24時間体制の老犬老猫ホームなど、多岐にわたる事業を展開する「Lien~りあん~」様も、まさに絶体絶命の危機に直面していました。しかし、そこから決死の覚悟で2度のクラウドファンディングに挑戦し、1回目で約600万円、2回目で約1,100万円以上の支援を集め、無事に新施設への移転を果たしました。


多忙を極める現場で、いかにしてプロジェクトを成功へと導いたのか。今回は、実務を担当された事務の高倉様に、限界だからこそ見せた「ありのままの発信」の裏側や、組織にもたらされた変化について伺いました。



Lien~りあん~

福岡県北九州市にある「Lien〜りあん〜」は、動物の殺処分ゼロを目指し、保護犬猫の譲渡や終身看取りを行う施設です。譲渡型保護猫カフェ、ペットホテル、トリミング施設、24時間体制の老犬・老猫ホームなど多角的な事業を展開し、動物たちの生涯を最期まで支え続けています。



実施されたクラウドファンディングプロジェクト

運営費・医療費の危機|保護犬・猫たちの生涯を最後まで支え続けたい(2025年3月31日終了)

保護犬猫の命を守るため、一刻の猶予もない状況。決死の覚悟で施設移転(2026年1月23日終了)

挑戦のきっかけ:誰にも「助けて」と言えなかった。限界の状況で決断したクラウドファンディング


──まずは簡単に団体の活動内容と、ご自身の役割について教えていただけますか。

Lien~りあん~は、「人と動物の絆をつなぐ場所をつくりたい」という代表・曾我部の想いから始まり、譲渡型保護猫カフェ、ペットホテル、トリミング施設、24時間体制の老犬・老猫ホームなど多角的な事業を展開しています。保護から看取りまで、動物たちの生涯を最期まで支える仕組み作りを大切にしており、犬や猫だけでなく、時にはうさぎなどの小動物も引き取ることもあります。私は、先に働いていたトリマーの友人からの紹介がきっかけで、2024年ごろから事務として働き始めました。

──クラウドファンディングに挑戦されたきっかけについて教えてください。資金調達の方法がさまざまある中で、あえて選ばれたのはなぜだったのでしょうか?

代表の曾我部と話をする中で、“このままではお店の経営が立ち行かない”という状況に陥っていたのが最大の理由です。北九州市や他団体さんからの依頼で、重い病気や怪我を抱えた子たちの受け入れが増え、2024年の医療費は例年より約100万円増の約620万円にまで膨れ上がっていました。

さらに、雨漏りなど施設の老朽化による修繕費も重なり、別施設の家賃もかかって、自分たちが抱え込めるキャパシティを完全に超えていました。

「このままではお店が潰れるのを待つしかない...」という危機的な状況の中、他の団体さんがクラウドファンディングでお店を立て直したり、オープンしたりしていることを知り「私たちもやってみよう」と決めました。


1回目の挑戦プロジェクト

1回目の挑戦プロジェクト

──そのような極限状態の中で、他のスタッフの皆さんの反応はいかがでしたか。

正直に言うと、他のスタッフは店舗での動物たちの日々のお世話に手一杯で、事務的な面まで手が回らず介入できない状況でした。

クラウドファンディングの挑戦を決めたのは私がりあんに加わって約半年後でしたが、やらざるを得ないほど追い込まれた状況で...。これまでの運営では、誰にも「助けて」と言ってこなかったところを、やっと「助けてください」と言えたという感じです。

──初めて大々的にご支援をお願いするタイミングがクラウドファンディングになったのですね。これまで寄付を募ることはなかったのでしょうか。

店舗に募金箱を置いたり、ホームページに寄付のお願いを掲載したりしていましたが、ホームページは老犬や老猫を預けたい方などが利用のために訪れるため、支援には直結しにくい部分がありました。 日々の利用料が運営資金ではありましたがそれだけでは足りず、今回クラウドファンディングを通して、初めて大きく発信して「助けてください」とお願いすることになりました。

代表の曾我部も、今まで寄付をお願いすること自体を「情けなく恥ずかしいもの」と考えており、自分たちの給料を補填してつぎ込んできた中で、「助けてください」と言える場ができたのは大きな変化でした。

挑戦の裏側:「情けない姿を見せてもいい」。取り繕わない“ありのまま”を発信。

──命と向き合う多忙な現場の中で、どのようにクラウドファンディングの作業時間を捻出されていたのでしょうか?活動報告※も60件以上投稿されていましたよね。

クラウドファンディングに関しては、ほとんど私と代表曾我部の二人三脚で進めてきました。もちろん他のスタッフのサポートもありましたが、基本的にはほとんどの作業を担当していましたね。

曾我部は年齢のこともあり長文を打つことが難しいため、毎日私が直接曾我部と電話で話した内容を文章に起こして活動報告を上げるスタイルをとっていました。1回目の挑戦の時は、通常の業務と並行して作業時間を捻出することが難しく、家に帰って子供を寝かせた後、夜に2時間かけて作業をすることもありました。この経験もあり、2回目の挑戦時にはスタッフや曾我部との連携を意識して動きました。

活動報告:クラウドファンディング開始後に編集・掲載できるブログのような投稿機能

──毎日何度もやり取りを。発信において、特に意識されていたことはありますか?

私たちにとっては日常化している日々のお世話や、里親さんや店舗のお客様との関わりなど、日常の様子をありのままに発信していました。りあんは譲渡型保護猫カフェやペットホテル、終身看取りペット施設など多岐にわたる事業をしていますので、そうした“ならでは”の姿を見せようと。

「何としても達成させないと」という気持ちでいましたが、もちろんスムーズに集まったわけではなく。ここまできたら、良いことだけ言って取り繕っても仕方がない、「情けない姿を見せてもいいんじゃないか」というスタンスになりました。

活動報告でも、代表の体調が良くないことなどを赤裸々に語り、皆さんへの協力のお願いや今の気持ちを包み隠さず発信しましたね。

──1回目で目標の500万円を超えて約600万円を達成し、それほど期間を空けずに2回目の挑戦をされました。2回目はさらに目標金額が1,000万円と1回目よりもぐっと上がり、大きな不安もあったのではないでしょうか。

特に2回目は「集まらなかったらどうしよう」という不安が強かったです。すでに施設移転の契約をしてしまっている以上、大工さんへの支払いなどもあり、無理をして捻出しているものがあったので、集め切らないといけない、という不安感がありました。

前回のほぼ倍の目標金額での挑戦でしたが、1回目の挑戦から期間が大きく空いていたわけでもなく、本当に支援してもらえるだろうか、と思うところもありました。

──1回目の反省を、2回目の挑戦にどのように活かされたのでしょうか。ページの作り方やリターン設計、発信の仕方などで変えた点があれば教えてください。

1回目の経験を踏まえて、ページ作りでは「ありのままを伝える」ことをより強く意識しました。そして、活動報告においては代表の曾我部や私だけが頑張っているように見えてしまうのは避けたいと考えていました。

スタッフみんなで命を守っていることを強調して伝えていけるように、移転作業や日々のお世話で慌ただしい中でしたが、他のスタッフやボランティアさん、りあんを応援してくださる方々にもお願いして応援の文章をいただき、活動報告にアップしていきました。

▼活動報告の一部をご紹介

【残り14日‼️】スタッフ松下より、くろじぃ&ボルトの様子🐈🐈‍⬛

【残り17日】【応援メッセージ!!】チョコ&ミルクちゃんママより🐶🩷

【応援メッセージ!!】W.MOON 糸掛人MOKO様より🧵𓂃🪡

また、リターンについては、真っ先に新店舗での保護犬や保護猫の様子を見ていただきたいという想いがありました。そのため、オヤツタイムやお散歩タイムなど、支援者の方がより深く保護犬や保護猫と関わりを持てるような内容を考えました。

2回目の挑戦プロジェクト

2回目の挑戦プロジェクト

──初動の期間は支援が伸び悩んでいたんですよね。移転と通常業務も重なり、不安な日々が続いていたかと思います。どのように最後まで走り切れたのでしょうか?

正直スタッフみんながいっぱいいっぱいでした。移転後に働き始めた新規スタッフが辞めてしまったり、活動報告を任せていたスタッフの投稿を私たちが軌道修正しなければならなかったり、想定外のこともたくさん起こりました。ただ、やはり最後は代表の曾我部と力を合わせて乗り切りましたね。曾我部自身も長文を打つのが難しいなか、支援してくださった方一人一人にお礼のメッセージを返していくなどやり切ってくれました。

移転直後で内部もイレギュラーな状況の中、READYFORの担当キュレーターの方には密にやり取りさせていただいて、サポートしていただいたのが本当にありがたかったです。何かあったら気軽に相談できる環境も、とても心強かったです。

実施後の変化:「持続可能な運営」へ。クラウドファンディングで得た組織の変化。

──2回にわたるクラウドファンディングを通して、印象に残っているエピソードはありましたか?

全く見ず知らずの方が助けようとしてくださることに一番驚き、温かさを感じました。これまで、自分では引き取らないのに保護してくる方や、安易に引き取って戻してくる里親さんなどもいて、曾我部も人間不信になりかけていました。


そんな中、クラウドファンディングを通して、見ず知らずの人たちが支援をしてくださったり、お客様や里親さんたちも「いつかお礼をしようと思っていた」と支援の手を差し伸べてくださったことは、本当に嬉しかったです。


自分たちが助けてきた犬猫との関わりの中で、そう思ってくれている人がいることが具体的に見えた瞬間でした。

──クラウドファンディング実施中は、実際にお店に来られる方とのコミュニケーションも増えたのでしょうか?

はい。直接募金を届けてくださる方や、新しく里親になってくださる方が譲渡費用とは別に寄付してくださったりしました。以前利用してくださっていた方が発信を見て連絡をくださったり、移転したお店に遊びに来てくれたりして、りあんのことを想ってくださるお客様や里親さんがこんなにいるんだと再確認できました。

また、施設を移転できたことで、動物たちにも良い変化がありました。例えば、ゲージから出てくることも稀で、お散歩にも行けない程ビクビクしていた保護犬の「メイメイ」が移転後、他の保護犬たちをお庭に出して日向ぼっこをさせていたら…自分からお庭に出てお散歩をし始めたんです。

「あのメイメイが、自分からお庭に出ている…」と、Lienの保護犬・保護猫をずっと見守って下さっている支援者さんも、大変喜んでおられます。

──資金面だけでなく、団体内部での意識の変化はありましたか?

お店の存続ができ、「この子たちの命が守れる」という明確な金額が集まったことで、スタッフの不安も払拭され、ポジティブな気持ちになれたと思います。

また、今後の運営に対する意識も大きく変わりました。移転した拠点をとにかく守り通すことに重きを置いています。継続的な支援をいただけるよう、私たち自身が発信していかなければならないと思い知らされたので、Instagramでの発信を強化し、毎日投稿するようにスタッフにお願いしています。

──「自立した運営」への覚悟が芽生えたのですね。

はい。「かわいそう」という感情だけで救えるものではないため、飼えなくなったのであれば飼い主の責任として長期預かりを利用し、そこから里親を探すというような明確な線引きを行いました。営利活動としてきちんと運営していかなければやっていけません。多頭飼育崩壊やブリーダーが運営をやめてしまったなど、本当に救い上げなければならない命は必ず救っていくというスタンスで、将来的な展望も明るくなったと思います。

「このままでは続けられない...」という限界を迎える前に。
「もう少し頑張れそう」な今こそ次の一手を。

──最後に、これからクラウドファンディングを検討される全国の動物愛護団体に向けて、高倉さんからお伝えしたいメッセージはありますか?

精神的なゆとりが全くなくなる前にチャレンジしたほうがいい、ということです。

私たちの場合は、「もうこのままではダメだ...」という状態でクラウドファンディングを実施したのですが、やはり追い込まれ続けるとみんな余裕がなくなり、精神的にも苦しくなってきます。

なので「もう少し頑張れそう」というゆとりがあるというタイミングで良い手を打って、クラウドファンディングで一歩を踏み出してほしいと思います。バックアップがある状態で挑戦できるのは幸せな環境なので、手遅れになる前に最善の状況に持っていってほしいと思います。

──限界を迎える前に、まずは声を上げて相談することが大切なのですね。

はい。とはいえ、どんな状態であっても、キュレーターという担当の方もついてくれるので、悩みや不安を気軽に相談できます。私たちも支援が伸び悩んだスタート序盤は苦しみましたが、大きな支援が入って流れが変わり、担当者と一緒にチームとして最後まで駆け上がれたのはすごくいい経験になりました。



「限界を迎える前に『助けて』と声を上げる勇気」。そして、現場が忙しくても、ありのままの姿を発信し続けたLien~りあん~様の挑戦は、同じように資金やリソース不足に悩む多くの動物愛護団体様にとって、大きな希望と気づきを与えてくれるはずです。


READYFORでは、日々命と向き合う動物愛護団体様のクラウドファンディングに専任キュレーターが伴走し、資金調達だけでなく、団体の持続可能な運営に向けた一歩を全力でサポートしています。


「資金繰りが少し苦しくなってきた」 「まだ余力はあるが、今後の施設運営に不安がある」 そんな「もう少し頑張れそう」な今こそ、次の一手を打つベストなタイミングです。


一度話を聞いてみたい方、具体的にアイデアをご相談したい方、ぜひ一度READYFORへお気軽にご相談ください。皆さまの想いに寄り添い、共に未来を切り拓くお手伝いをさせていただきます。


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