一般社団法人新潟県動物愛護協会様|地域で活動する団体同士が手を取り合って実現した、猫の多頭飼育崩壊解決のための大きな一歩
2025/10/23

2024年夏、新潟市動物愛護センター内に「にゃんがたセンタークリニック 猫の不妊手術専門病院」が開設しました。その裏には、新潟県動物愛護協会、地域の任意団体、獣医師会、行政など多様な団体同士の強力な連携と、クラウドファンディングの成功がありました。今回は、プロジェクトの代表を務められた新潟県動物愛護協会の高橋様に、その挑戦の軌跡をお伺いしました。
クラウドファンディングプロジェクト
多頭飼育崩壊に歯止めを!行政施設内に「不妊手術専門病院」の開設へ
資金の使い道:新潟市動物愛護センター内に開院するスペイクリニック「にゃんがたセンタークリニック 猫の不妊手術専門病院」の開設費用&1年分のランニングコスト
支援総額:22,503,966円(目標金額 8,000,000円)
支援人数:1,402人
目次
ーー クリニックの開設資金を集めるために、「クラウドファンディング」という手段を選ばれた理由を教えてください。
このプロジェクトは、新潟動物ネットワークの岡田代表、新潟市動物愛護センターの登坂所長、そして私たち新潟県動物愛護協会に加えて、獣医師会の方々の協働で動き出したプロジェクトです。猫の多頭飼育崩壊という課題を解決するために、「一斉捕獲を行い、不妊去勢手術を行う必要がある」ということは分かっていても、具体的に「誰がやるのか」「人は集まるのか」「お金はどうするのか」という道筋がなく、一歩踏み出せないような状況でした。
そんな時、プロジェクトメンバーから「クラウドファンディングという仕組みがあるよ」という話を聞いたのがきっかけでした。実は私自身は、クラウドファンディングという仕組み自体を全く知らなかったんです。初めて聞く仕組みでしたので、正直最初は「そんなに簡単に支援が集まるのかな」という不安もありました。
とはいえお金が集まらなければクリニックは開設できない。藁にもすがる思いで、当初は「もしかしたら、できたらいいな」「とりあえず挑戦だけでもしてみよう」という感覚で、クラウドファンディング実施を決めました。

(プロジェクトメンバーの皆様。中央が高橋様。)
ーー 資金調達以外に、クラウドファンディングに期待していたことはありましたか?
多頭飼育崩壊の現状や、私たちのビジョン、どういった社会を目指しているのか、というメッセージを、広く知っていただくチャンスになればと考えていました。
多くの方に知っていただき仲間が増えれば、多頭飼育崩壊の解決に向けて、大きな一歩が踏み出せるのではないか、という期待が大きかったですね。
ーー 複数の団体様が関わるプロジェクトでしたが、クラウドファンディングの準備や支援集めは、どういった体制で進められていたのですか?
各団体からメンバーが集まって、協力して進めました。READYFORのキュレーターさんとのオンラインミーティングには、各団体から誰かが必ず参加する形でしたし、私たちだけでも定期的に会議を開いていました。初めての体験だったので、何が正解か分からないことも多く、皆で何度も議論を重ねながら決めていきました。
「猫の多頭飼育崩壊を解決したい」という共通の目的があるので、それぞれ立場は違うけれど、皆が当事者意識を持って、本当に真剣に取り組んでくれてありがたかったです。私自身は、ただ一生懸命に今できることに最善を尽くそう、と走っているような感覚でした。誰一人欠けても、同じ結果にはならなかったでしょうね。このメンバーは絶対にいなくなって欲しくないな、と今でも思っています。
また、新潟エリアはもともと動物愛護に関わる団体同士の関係が良好で、日頃の活動も手を携えて推進しています。そうした関係性の土台があったことも、成功の大きな要因だったように思います。

(中越地震の際は、行政や動物愛護団体、獣医師会が連携し、サポート体制を構築した。)
ーー READYFORのキュレーターとのやりとりで印象に残っていることはありますか?
最初はクラウドファンディングに対して不安な気持ちもありましたが、キュレーターさんと準備を進める中で、本当に親身にサポートいただいたことで安心して取り組むことができました。
特に「どのような発信の仕方が有効なのか」「どうすれば多くの人の心を打つのか」といった広報活動のポイントについては多くのアドバイスをいただき、そのおかげで良い結果に繋がったと思っています。キュレーターさんがわざわざ新潟まで足を運んでくださったり、イベントに来てくださったり、「本当にプロジェクトのことを想ってくれているんだな」ということがすごく実感できて嬉しかったですね。
担当の方がつくコンサルティングプランを選んで良かったと思っています。

(クラウドファンディングページより)
ーー 結果として1,402人のご支援者様から、2,250万円のご支援が集まりました。どのような方からのご支援が多かったのでしょうか?
最初は直接の知り合いや仲間たちが支援をしてくれて、またその友達、その友達の友達というようにどんどん輪が広がっていきました。スタートしたらあれよあれよという間に1週間で第一目標を達成してしまって、すごいパワーだなと。
とにかく驚いたのは、「支援をしてあげる」ではなく、「支援をさせていただく」というスタンスのご支援者様がほとんどだったことです。おそらく、猫を飼っているか、飼ったことがある方々だと思うのですが、「自分の場合はこうだった」などといった経験を添えながら、「いい活動だから頑張ってください」「応援させてください」というコメントをいただくことが多かったです。「世の中捨てたもんじゃないな、いいプロジェクトにはちゃんと支援をしてくださる温かい人がいっぱいいるんだな」ということを本当に実感できました。
新潟県内からのご支援が多かったものの、東京など県外の方からのご支援もたくさんいただきました。普通だったら出せないような100万円単位の金額を支援してくださる方もいらっしゃったことに、本当に感動しました。

(クラウドファンディング期間中、センター内に設置した応援メッセージ掲示板)
ーー ご支援の呼びかけにおいて工夫されたことはありますか?
活動報告やSNSなどの更新は、得意なメンバーにお任せしていました。メッセージリレーやカウントダウン、SNSのハッシュタグ企画など、色々な人を巻き込みながらうまく情報発信していて、それが更に多くのご支援に繋がったと感じています。
動物愛護協会としてもともと持っていた繋がりも活かしながら、メディアにもアプローチしたおかげで、新聞やテレビなどでも取り上げていただくことができました。

(活動報告より)
ーー たくさんの方が関わるプロジェクトだからこそ、役割分担しつつ周囲を巻き込んだ情報発信ができたのですね。
ーー クラウドファンディング終了後、支援者の皆様とはどのようなコミュニケーションをとられていますか?
ホームページを充実させて、今起きていることや新しい情報をできるだけ発信するようにしています。きちんと活動しているところを皆さんにお示ししていくことが、なによりも大切だと考えています。
実はクラウドファンディングが終わった今でも、定期的にご支援をくださる方もいらっしゃるのです。これまでもご支援をいただくことがないわけではありませんでしたが、それを上回るペースでご支援が集まっています。
クラウドファンディングが作ってくれたご縁がこんな形で続いていくのか、と本当にありがたい気持ちです。

(キックオフイベントにて)
ーー 外部からの反響はありましたか?
はい、クラウドファンディングが終わってから、他県の団体や議員さんなどが視察に来られることが増えて、注目していただいているなと実感しています。定期的にメディアも取材に来てくれますし、「まだまだ関心を持っていただけるんだな」と感じます。
私たちの今回の取り組みが、ひとつの成功事例として、他の地域にも広がっていくといいな、と考えています。当初期待していた「広く知っていただく」という意味でも、クラウドファンディングは有効だったと感じています。
ーー 現在、クリニックでの手術頭数は順調に増えていると伺いましたが、クラウドファンディングの影響を感じられる部分はありますか?
クリニックを開設するにあたっては、まず「どれだけの獣医師の先生方が協力してくれるだろうか」という心配がありました。
しかし、クラウドファンディングを通じて「こんなに多くの方が応援してくださっているんだ」ということを先生方も実感してくださったようで、協力してくださる先生方がどんどん増えていきました。今では17人もの獣医さんが協力してくださっていて、ローテーションを組んで手術が実施できています。
また、捕獲活動についても、これまでは新潟動物ネットワークさんの活動を中心に新潟市周辺エリアに限られていましたが、少しずつ上越や柏崎などの他エリアの団体さんとの連携も増えてきました。受け入れるエリアが広がったことで、手術頭数が増えてきた、という側面もあります。
私たちだけで寄付を集めていたら、おそらくこんな風にはならなかった。プロジェクトに関わるメンバーを更にその気にさせた、という意味でもクラウドファンディングの効果は大きかったと思います。

(プレオープン初日の手術の様子)
ーー 「にゃんがたセンタークリニック」の今後の展望をお聞かせください。
クラウドファンディングをきっかけに、多頭飼育崩壊を解決するための「道筋」が見えた、と感じています。あとはこのご縁を大切にしながら、輪をどんどん広げて、維持していくことが大事だと考えています。
具体的には、手術頭数を更に増やし、目標としている「1日あたり20頭」に近づけていきたいです。多頭飼育崩壊は本当にたくさんあって、まだまだその全てには対応できていない状況です。関わってくださるボランティアの皆さんに感謝しながら、活動を広げていきたいですね。
またクリニックの運営においては、今後たとえば機器の故障など予期せぬ事態が発生したときに備えて、ある程度まとまった資金的な蓄えが必要だと考えています。応援してくださる皆様のお力もお借りしつつ、万が一の時のための余力をどう作っていくか、が次のチャレンジだと思っています。

(もうこれ以上、不幸な命を増やしたくない)
ーー 最後に、クラウドファンディングの実施を検討中の方へのメッセージをいただけますでしょうか。
挑戦する価値は非常に高いと思います。世のため、人のため、の活動であれば、支援してくださる方は本当に多くいらっしゃいます。いいプロジェクトであれば、必ず支援してくれる方が大勢いる、ということを皆さんにお伝えしたいですね。
また、その思いをどうしたら皆さんに届けられるか、というノウハウについては、READYFORのキュレーターさんのような存在に頼れば、しっかりと導いてくださいます。本当にクラウドファンディングをやってよかったなと思っています。心から感謝しています。

(支援者様からのコメントをまとめたボード)
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