NPO法人猫と人を繋ぐツキネコ北海道様|SNSを活用し、活動継続の支援の輪を広げるクラウドファンディング

NPO法人猫と人を繋ぐツキネコ北海道様|SNSを活用し、活動継続の支援の輪を広げるクラウドファンディング

2025/05/12

これまで3回のクラウドファンディングを実施されているツキネコ北海道様に、クラウドファンディングや組織運営のお話しに加え、XやInstagram、YoutubeなどSNSの使い分けや活用についてお話しいただきました。

実施されたプロジェクト



目次

何もわからないところからのスタート。SNS活用で支援の輪を広げた

ーまずは、自己紹介と団体様のご紹介をお願いいたします。

NPO法人猫と人を繋ぐツキネコ北海道で、現在は副代表をしております滝澤礼奈と申します。私たちツキネコは、北海道札幌市を拠点として、飼い主のいない野良猫、他頭飼育崩壊のレスキュー、飼い猫の脱走等の様々な保護・相談に対応しています。現在5か所の関連施設と、一時預かりボランティアさんの元で預かってもらっている猫を合わせて300匹を超える猫たちのお世話をしています。

2015年からはシニア世代を中心に、猫の永年預かり制度※1をスタートしました。この10年間で、永年預かり制度を利用し、ツキネコ北海道卒業した猫は500匹を超えています。また2022年頃からは北海道だけでなく、沖縄県や九州などなかなか譲渡の進まない地域から猫を引き受け、譲渡活動をお手伝いしています。

ツキネコには、日々沢山の猫たちがやってきます。

ツキネコには、日々沢山の猫たちがやってきます。

ーありがとうございます。ツキネコ様には、これまで3度クラウドファンディングをご利用いただき、現在は継続寄付のサービスもご利用いただいております。1回目は2015年、カフェの移転の資金調達のため目標金額150万円のところ1か月で174万円集められました。2019年の2回目のプロジェクトでは老朽化した施設の改修などの資金調達で目標金額300万円のところ、2か月で467万円を達成。3回目は、一気に規模感が上がり保護猫の終生飼養施設開設のための物件取得費用として1000万円を目標に、見事2か月で2倍となる2025万円を集められました。

まずはなぜクラウドファンディングを活用されようと思われたのか、お話を伺えますか?

ツキネコとしては、「ここぞ」という時にクラウドファンディングを活用させて頂いています。私は最初のツキネコカフェオープンの時から活動に参加しているのですが、以前の店舗は老朽化による建て替えで移転せざるを得なくなりました。当時はまだ活動の規模も小さく、猫も10~20匹程度ではありましたが、猫を連れていくことのできる移転先を探すのは難しく、また赤字経営で資金調達のめども立たず途方に暮れていました。

そんな折、お客様の一人がクラウドファンディングとREADYFORさんのことを教えてくださり、すぐお問い合わせさせて頂いたのが最初のきっかけです。

ー実際、挑戦してみての感想をお聞かせいただけますか。

当時、パソコンでネットサーフィンはしていたものの、Web上で、自分の側から何かを発信するという経験はなかったので、やるべきことを全く把握できない中でのスタートでした。

画面の操作もよくわからないし、「リターン」という言葉の意味もよくわからず、ドキドキしていました。でも、日々応援して下さる方が少しずつ増えていって、こんなに応援して下さる方や期待して下さる方がいるんだと、嬉しかったことを覚えています。

ーどんなことが支援者拡大につながったと思いますか?

10年前というと、まだ今のようにスマートフォンが普及しておらず、インターネットは基本パソコンで見るという時代でした。とはいえ、当時から私たちはSNSを最大限活用していて、当時主流になりつつあったFacebookでどんどん情報を更新し、併せてブログやHPなども活用していました。

Twitter(現在のX)なども活用して、様々なSNS媒体を駆使しているうちに多くの支援者様とのご縁ができたように感じます。

かさむ運用資金に頭を悩ませる日々。継続寄付が大きな後押しに

ー支援者もお客様も集まってきて、カフェの赤字経営も解消されたのですか?

それが実はそんなこともなくて(苦笑)。移転して10年になりますが、赤字かトントンという感じで、ずっと続いてきていますね。

15坪の前店舗から5倍ほどの広さになって、利用者様も増えました。それに伴い保護相談件数も右肩上がりで、猫たちの数もどんどん増えまして。とにかく、保護猫たちの医療費がかさみます。保護価格でご対応いただいていても、現状、月に約200万円の費用がかかります。

もちろん医療費以外にも必要な費用があるので、毎月の運営資金をどう集めるかとても苦労をした時期もありました。

多くの人と猫が集うツキネコカフェ。寒い北の地では光熱費もかさむ。

多くの人と猫が集うツキネコカフェ。寒い北の地では光熱費もかさむ。

ー運営資金調達という面では、現在、継続寄付も募られていて、235名というかなりの数の継続寄付者様を集めていますが、こちらの感触はいかがですか?

3回目のクラウドファンディングで取得した終生飼養施設※2“月虹山荘”は、借入し物件購入をしたので、ローンの支払いもしています。施設には60匹の猫たちもいますので、光熱費や人件費などの費用も必要で、それだけでも概算で月50万円がかかります。その50万円を月虹山荘が稼ぐというのは、施設の性質上難しく、どう運営費を賄うのかが大きな課題でした。

そんな折に、継続寄付の登録・公開をしたのですが、やはり公開しただけでは人はなかなか集まらない。なんとかここで月虹山荘の運営資金を作りたいと思い、SNS発信を始めました。

月虹山荘のアカウントも作って、継続寄付者募集という投稿をしたり、チラシを作って相談者さんや里親さんに1枚ずつ配りました。おかげで新規の方が毎月増えるようになり、いまは継続寄付者様500人を目指して頑張っています。

ーSNSを上手に活用されてファンづくりをされている、その具体例をお聞き出来てありがたいです。SNSを活用されるにあたり、工夫をしていることなどはありますか?

広告費をかけずに無料で利用できるので、使わない手はないと思っています。ご存じの方も多いかもしれませんが、SNSはそれぞれの媒体で利用者の属性など特色が違うので、特色を生かした投稿をするようにしています。

例えばInstagramは写真が主なので、見栄えのいい写真を投稿します。Xはあっという間に情報を拡散することができます。YouTubeでは、動画で猫たちの様子や活動のことをお伝えすることができます。伝えたい情報により、どの媒体を利用するか考えています。

利用者の属性もばらばらで、比較的若い方はInstagram、中高年以上の方はFacebookという感じなので、載せる写真や文章などを媒体ごとに変えるなど細かな工夫をしながら配信しています。

ー直近だと力を入れている媒体はYouTubeですか?

そうですね。YouTubeは、コロナ禍に試行錯誤を経てチャンネルを開設して、動画制作のできるスタッフとボランティアさんを募り、始めました。

店舗の一時閉鎖などで時間はたくさんあったので、写真や動画をとにかく撮りためて投稿していました。多頭飼育崩壊のレスキューなどの投稿ではややセンセーショナルな動画や画像もあったかと思います。

それがバズって、想定以上の再生回数を記録したんです。おかげでYouTube収益化の条件をクリアして、いまやYouTubeは大切な収益化ツールの一つなので、力を入れています。

近い距離感でオープンにありのままを伝えたことが、たくさんのファンを呼び寄せた

ーツキネコさんの配信は、明るく前向きだけれどリアルな状況も包み隠さず伝えているな、と感じます。配信時に特に意識していることは何かありますか?

Instagramご覧になった方はお気づきかと思いますが、とにかく何でもよく載せます。代表の吉井は、よくインスタライブを開催して歌っていますし(笑)スタッフがごはんを食べている様子なども配信したり。オープンにしているからこそ、ユーザーや支援者の皆様と距離感が近くなるというか。

北海道以外にも全国から見てくださっている方たちがいて、“ファンづくり”を意識して配信しています。本当に大変なレスキューのこと、医療ケアのこと、大変な面も楽しい面も包み隠さず配信しているので、“ありのままのリアル感”を受け取ってもらえたら、と。

ーツキネコさんの魅力の一つが、まさにその“ありのまま感”だと思います。私も一度現地に伺って、スタッフさんたちの和気あいあいとした前向きで明るい雰囲気と居心地の良さを感じました。SNSの発信でもリアルにありのままを伝えている姿勢が本当に素敵だなと思うのですが、そういった雰囲気や組織の姿勢を作るにあたって何か工夫されていることはありますか?

代表の吉井は、その人の持つ魅力や力を引き出すことに非常に長けた人です。得意なことをうまく引き出して、それを必要なところにあてはめるのがとても上手い。スタッフやボランティアさんは20代後半から幅広い年代の方々が活躍してくれています。苦手なことは苦手でもいいから、得意なことを生かしてやってみようという雰囲気をいつもみんなで作っていることがいい効果を生んでいるのかなと思います。

いつも明るいスタッフやボランティアの皆さん。

いつも明るいスタッフやボランティアの皆さん。

ー最後に、クラウドファンディングへの挑戦を検討している方へメッセージをお願いいたします。

動物の問題というのは実は人間側の問題でもある、と思って活動をしています。たくさんの人が関わるからこそ、真摯に向き合うことや、正直に情報などを出しながら自分たちの身の丈に合った活動を継続していくことが大切なのではないかと思います。

いまは、以前よりも情報もたくさんあり、クラウドファンディングへの挑戦のハードルはずいぶん下がっていると思います。まだまだ各地には助けを必要とする動物たちがたくさんいます。1人でも多くの方と手を取り合って、一緒に解決していきたいと思っています。迷っているようでしたら、是非、一歩踏み出してみてください。


※1 永年預かり制度はツキネコが考案した独自のシステム。高齢の方でもお世話ができなくなる日まで、猫を預かり飼育することができます。体調など理由で飼育困難になった場合は再度、ツキネコが猫を預かる仕組みです。

※2 終生飼養施設とは、事情によりお世話できなくなった猫を、飼い主さんに代わり生涯お世話をする施設です。

※本記事は2025年4月にREADYFORが主催した「いきもの・動物愛護に特化!クラウドファンディング連続セミナー 第6回 〜魅力を伝えるSNS発信術と組織運営〜」の内容を元にしております。

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