INTERVIEW

善光寺大勧進様|1400年の歴史を未来へ。クラウドファンディングを機に深まった、支援者との新たな交流と軌跡

善光寺大勧進

    2026/06/22

    長野県に位置し、1400年の歴史を持つ名刹・善光寺。その本坊である「大勧進」が、寛政11年(1799年)建立の由緒ある茶室「沈香亭(ちんこうてい)」の屋根修繕のため、初めてのクラウドファンディングに挑戦しました。

    今回は、実務のほとんどを担われた善光寺大勧進・法務部長の傳田様にお話を伺い、クラウドファンディング実施の背景や広報活動のリアル、そしてプロジェクトを通じて生まれた新たな繋がりについて語っていただきました。

    善光寺大勧進

    長野の地で1400年前から伝わる「善光寺本坊大勧進」は、善光寺天台宗の本坊で、善光寺を守り「お血脈」を受け継ぐお寺。大勧進の境内には、明治天皇から庵名を賜った茶室「沈香亭(ちんこうてい)」があり、220年を超える歴史と共に、多くの方に愛されてきた。

    クラウドファンディングプロジェクト

    長野県善光寺大勧進|歴史ある茶室「沈香亭」の屋根修繕にご支援を

    • 資金の使い道:善光寺大勧進の境内にある「沈香亭」茶室の屋根修繕工事

    • 成果:目標金額10,000,000円に対し、461名の方から13,352,000円があつまった

    目次

    歴史ある「沈香亭」を守り、知ってもらいたい。善光寺大勧進がクラウドファンディングに挑戦した理由

    ーまずは、傳田様の大勧進での役割と、今回のクラウドファンディングでどのような業務を担当されたか教えていただけますでしょうか。

    傳田様: 私は善光寺の中の「大勧進」におりまして、役僧という立場で僧侶をしております。大勧進には僧侶が9名、一般の職員が23名ほど在籍しており、私は法務部長として、ご祈願や結婚式、ご供養の法要などを担っています。今回のクラウドファンディングでは、事務作業も含め、プロジェクトページへの入力などの実働的な部分をメインで担当させていただきました。

    ー実務の多くをご自身で担われたのですね。そもそも、今回クラウドファンディングに挑戦しようと思われたきっかけや背景には、大勧進様のどのような状況があったのでしょうか?

    傳田様:多くの方からすると、「善光寺」というのは名前も知られていますし、変な話「お金がいっぱいあるんでしょう」というイメージを持たれがちだと思います。しかし実際には、大勧進にはそこまでの余裕がないというのが現状でした。

    今回対象となった茶室「沈香亭」は、明治天皇から庵名を賜った由緒あるお茶室なのですが、長年の風雪で「柿葺き(こけらぶき)」の屋根を中心に老朽化が激しく、早急な修繕が必要な状況でした。ちょうどその頃、繋がりのある金融機関さんからクラウドファンディングを紹介していただいたのが、挑戦の始まりです。

    挑戦したクラウドファンディングプロジェクト

    ー初めてのクラウドファンディングということで、反対意見やハードルを感じることはありませんでしたか?

    傳田様: 寄付を募ること自体への抵抗感はそこまでありませんでしたが、いざ「やろう」となり、詳細な準備や実務の話を聞くと、やはり最初は少しひるむ部分もありましたね。どうやって準備を進めるのか、誰がやるのかといったリソース面での不安はありました。しかし、いざ始まってしまえば、「もう流れに沿って頑張るしかない」という感じで進めていくことができました。

    ー資金調達という目的の他に、クラウドファンディングを通じて叶えたかったことや、期待していたことはありましたか?

    傳田様: 「大勧進」や「沈香亭」の存在をより多くの方に知っていただきたいという強い思いがありました。善光寺には毎年多くの方がお参りに来られますが、9割以上の方は正面の本堂にお参りして帰ってしまいます。善光寺の中に「大勧進」というお寺があり、さらにその奥に歴史的なお茶室があるということを、ほとんどの方がご存じないんです。

    クラウドファンディングを通して、大勧進の門をくぐってくださる方を少しでも増やしたい、そして大勧進の中の魅力を知っていただきたいというのも、大きな目的の一つでした。

    参道での声かけや、リターンの工夫も。支援の輪を広げた地道な広報活動

    ークラウドファンディング期間中は様々な広報活動を実施されたと思いますが、最も手応えを感じた、あるいは印象に残っていることはありますか?

    傳田様: 意外と効果があったなと感じたのは、善光寺の参道に「あと何日」というカウントダウンの看板を立てたことです。これが結構皆さんの目についたようで、質問してくださる方がいらっしゃいました。直接ご説明すると興味を持って聞いてくださったり、中には「知ってるよ!」と声をかけてくださる方もいて、とても嬉しかったですね。支援者の方々と直接お会いしてお話しできる貴重な機会にもなりました。

    ー直接のコミュニケーションが支援の輪を広げたのですね。リターン(返礼品)についても様々な工夫をされていましたが、ご支援者様からの反響はいかがでしたか?

    傳田様: リターンを何にするかは最初かなり悩みましたが、「限定散華」「限定色の御朱印・御朱印帳」「限定だるま」など、ありがたい反響をいただきました。また、実際に改修した茶室を体験いただけるコースや、沈香亭を自宅で楽しんでいただける茶碗やお茶菓子のセットなども多くの方にお申し込みいただきました。

    ー情報発信やプロジェクトの進行において、苦労された点や大変だったと感じたエピソードはありますか?

    傳田様: 最初は私たちが思っていたよりもなかなか支援の数字が伸びていかなかった時期があり、そこは不安でしたね。何をどうやっていいか分からない手探りの状態でしたが、担当キュレーターの方から色々とアドバイスをいただき、その通りに一生懸命やっていく中で、だんだんと支援数も増えていきました。活動報告の更新なども、最初は勝手がわかりませんでしたが、どのタイミングでどんな内容を投稿していきましょう、とサポートしていただきながらなんとか流れを掴んで進めることができました。

    ーご自身の思いを文章にして発信していくことに戸惑いはありませんでしたか?

    傳田様: 少し考えるところはありましたが、やはり「本気の気持ち」を伝えることが一番大事だと思いました。こちらが思いを持って取り組んでいる姿勢は、文章の拙さを超えて必ず伝わるはずだと信じています。支援してくださる方に向けて、できるだけ自分たちの本当の気持ちをストレートに発信したつもりです。

    ー実務面では傳田様が一人で担われる部分も多かったとのことですが、プロジェクトチームとしての体制や、モチベーションを維持する秘訣はありましたか?

    傳田様: 実務の手を動かすのは私でしたが、決して一人でやったわけではなく、周りの色々な方に手伝っていただき、支えてもらいながら進めました。活動報告の中で、大勧進の皆に協力してもらってカウントダウンの写真を撮ったのですが、あれはやって良かったなと今でも思っています。 ただ、右も左も分からない状態でのスタートだったので、READYFORのキュレーターの存在が本当に大きかったです。

    挑戦期間中に更新した活動報告。終了までのカウントダウンは善光寺の関係者にも協力いただき実施。

    遠方からの訪問や支援者主催のお茶会も。クラウドファンディングが結んだ支援者との絆

    ー最終的に目標金額の1,000万円を大きく上回る、1,300万円以上のご支援が集まりました。プロジェクトを終えられての率直なご感想をお聞かせください。

    傳田様: まずは何よりも「嬉しい」という気持ちと、感謝の気持ちでいっぱいです。最初は「本当に大丈夫かな」と不安でしたが、集まった応援コメントを読ませていただき、「こんなに大勧進のことを思ってくれている人がいるんだ」「私たちの思いに共感して協力してくれる方がこんなにいるんだ」と実感し、胸が熱くなりました。この皆様からの思いは、これからも大切に持ち続けなければいけないと強く感じています。目標を達成した瞬間は、本当に最高に嬉しかったですね。

    ーご支援者様との思い出に残ったエピソードなどありますか?

    傳田様: 意外だったのですが、県外や市外からご支援いただいた方がとても多くて驚きました。関東近県など遠方から足を運んでくださる方もいらっしゃいました。もちろん、近隣の商店街の方や議員の方々も応援してくださり、ありがたかったですね。

    その中でも 一番印象に残っているのは、足が不自由で車椅子に乗られた方が、親子でわざわざ茶室の体験リターンを申し込み、大勧進へお越しくださったことです。「どうしても見たかったんです」とおっしゃって、体験を通じて逆に私たちに感謝の言葉を伝えてくださいました。あえてこのリターンをご用意したからこそお越しいただけたのだと思うと、非常に嬉しかったです。

    また、茶室に支援者の方々のお名前を掲示しているのですが、ご自身の名前を見つけて喜んでくださる姿を見るのも嬉しい瞬間です。1年以上経った今でも「茶室を使えますか?」と訪ねてきてくださる方がいて、しっかりと覚えていてくださることが本当にありがたいです。

    茶室に掲示しているご支援者の方々のお名前

    ークラウドファンディングを通して、「大勧進や茶室を知ってもらう」という目的も達成された実感はありますか?

    傳田様: はい、強く実感しています。実はつい先週も、支援者の方のお声がけから始まった「勧進茶会」というお茶会が開催されたんです。「歴史あるものだから、1人だけでなく少しずつ皆で支援して残していった方がいい」と、支援者でありお茶の先生でもある方が立ち上がってくださり、昨年からお茶会を年に1度開催する形になりました。

    まさにクラウドファンディングをきっかけに生まれたご縁で、これからも続けていきましょうというお話をしており、本当にありがたいことです。

    ー素晴らしいですね。最後に、大勧進様としての今後の展望と、これからクラウドファンディングを検討している神社仏閣の皆様へメッセージをお願いします。

    傳田様: 修繕が必要な箇所は茶室以外にもまだまだたくさんあります。境内の橋の塗り替えや濁ってしまった池の浄化、誰でも気軽に入れるような入り口の案内板の整備、さらに皇室ゆかりの品がある宝物館の照明を明るくするなどの環境整備も、今後少しずつ進めていきたいと考えています。

    これからクラウドファンディングをされる方にお伝えしたいのは、「本気の気持ちを持って取り組めば、必ず相手に伝わる」ということです。私も決して上手ではありませんでしたが、思いを込めて一生懸命発信することで支援してくださる方に届いたと実感しています。文章を綺麗にすることにとらわれすぎず、まずは自分たちの素直な思いを真っ直ぐに伝えることが一番大切だと思います。

    ー傳田様の熱意と、それに共感したご支援者様との絆が伝わってきました。本日は貴重なお話をいただき、本当にありがとうございました。

    クラウドファンディングで集まったご支援で無事に修繕が完了した茶室「沈香亭(ちんこうてい)」

    クラウドファンディングについてもっと詳しく知りたい方、実施を検討されている方は、ぜひお気軽に下記よりお問い合わせください。

    <資料請求・無料相談は こちら から>

    すべて見る

    単発だけでなく、継続的な資金調達やファンづくりに。

    単発だけでなく、
    継続的な資金調達やファンづくりに。

    文化を次の世代へ繋ぐ
    クラウドファンディング