INTERVIEW
土津神社様|クラウドファンディングで広がったご縁と地域の結びつき。御鎮座350年を超えて、未来へ。
会津守護神 土津神社
2025/08/27

福島県猪苗代町に鎮座する土津神社(はにつじんじゃ)の宮司 宮澤重嗣氏にお話を伺いました。
クラウドファンディングプロジェクト詳細
土津神社|ご神体が鎮座する御社殿を修繕し、「東北の日光」を再び。
期間:2024年10月7日〜2024年12月5日
達成金額:13,370,000円(目標金額 10,000,000円)
資金使途:本殿および幣殿屋根の修繕費用
成果:地域の人たちとの関係性を育むと共に、認知拡大、新しい方々とのご縁が生まれた
目次
── まずは簡単に土津神社とご自身について、ご紹介をお願いします。
福島県猪苗代町の土津神社にて、第31代目の宮司を務めております宮澤重嗣と申します。土津神社は1675年の創建以来、会津藩祖 保科正之公をはじめ、会津藩の歴代藩主をお祀りしてきた神社で、「こどもと出世の神さま」として親しまれてます。
私自身は、東京の大学にて神職と社会福祉士の資格を取得したのち猪苗代町に戻り、土津神社へ奉職する傍らソーシャルワーカーとしても従事する、いわゆる「兼業神職」でした。戊辰150周年を迎える2018年に神社業に専念する「専業神職」となり、今に至ります。
大学で地域福祉を専攻していたこともあり、「ここに住んでてよかった」と思えるような地域を作っていきたい、という想いが根底にあります。神社に多くの参拝者を呼び込むことは、地域を訪れる方を増やすことにも繋がります。年々人口が減少している猪苗代町において、地域の誇りとなる神社であり続けたいと思いながら活動しています。

(土津神社 第31代宮司 宮澤重嗣様)
── 土津神社では過去5年間で参拝者が約10倍に増加したと伺っております。その裏にはどのような取り組みがあったのでしょうか?
土津神社では先々代宮司の頃から兼業神職という形で宮守をしてきました。そのため、紅葉シーズンなどに遠方から参拝者の方にお越しいただいたのに「神社が開いていない」という状況があり、申し訳ない気持ちを抱えていました。
そうした背景もあり、専業神職になった時、とにかく「毎日神社を開ける」ことを目標に掲げました。その結果少しずつですが、週末に遠方からいらっしゃる方にも、平日にいらっしゃる近隣の方にも、「いつでもお詣りできる神社」として認識いただけるようになったことが、参拝者増加の大きな要因です。
ーSNSでの情報発信も積極的に行われていますが、これも参拝者を増やすための取り組みでしょうか?
SNSでの情報発信は兼業神職の頃からコツコツと続けていました。SNSを活用しはじめた最初のきっかけは、正直なところ、社入があまりなかったからです。当時の私にとって、費用をかけずにできることのひとつが、能動的に情報発信ができるSNSでした。
どういった写真だと魅力が伝わるかを考えながら撮影し、四季折々の美しい景色や、神社のシンボルである白い大鳥居、季節の花を手水鉢に浮かべる「花手水」の写真などを投稿してきました。
その結果、参拝者の方がご自身のSNSで投稿してくださることが増え、情報が広がり、参拝者増加にも繋がったと感じています。またSNSでの発信を続けたことで、メディアからの取材や、インフルエンサーとの関係構築にも繋がりました。

(土津神社SNSアカウント。「思わず自分も写真を撮って投稿したくなる」鮮やかな写真が並ぶ)
── そうした参拝者増加の中で、昨年2024年のクラウドファンディングご挑戦には、どのような背景と目的があったのでしょうか?
まず現実的な側面として、御社殿の屋根修繕に必要な費用約2000万円を、約100世帯ほどの氏子さんだけにお願いするのは難しいという課題がありました。
そしてもうひとつの側面として、私個人の夢でもある「東北の日光」と称された創建当時の御社殿復元、という大きな目標のために、まずはより多くの方々に土津神社の歴史的意義と現状を知っていただきたいという想いがありました。土津神社の御祭神である保科正之公や歴代会津藩主を崇敬されている方は全国にたくさんいらっしゃいますが、そういった方々との繋がりはこれまでほとんどありませんでした。
クラウドファンディングの挑戦が、「崇敬者の掘り起こし」にも繋がると期待して、取り組みました。

(土津神社クラウドファンディングページ)
── 日々の業務を抱えながらのクラウドファンディングのご挑戦は、ご苦労も多かったのではないでしょうか?
クラウドファンディングに関する準備や情報発信は、基本的に私一人で取り組み、クラウドファンディング期間中のその他の業務は他の職員と分担しておこなう形をとりました。
そうしたこともあり、READYFORのキュレーターさんには大変助けていただきました。ページ上でのメッセージの打ち出し方や、広報活動、インフルエンサーとの連携に関するアドバイスなどは大変ありがたかったです。
実は今回のクラウドファンディング開始翌日に先代宮司である父が救急搬送され、その1ヶ月後に他界するという状況の中、クラウドファンディングに時間を割く余裕がない時期もありました。キュレーターさんに情報発信用の素材や文章の叩き台をご用意いただき、どうにか発信を続けることができました。

(活動報告ページより。職員・巫女さんらを巻き込み、親しみやすい発信の工夫も。)
── クラウドファンディングを通して、ご自身も大切にされている「地域」の方々との関係性に変化はありましたか?
今回のクラウドファンディングの実施にあたり、行政の方々や商工会の会長、観光協会の会長、氏子会の方々にお声がけをし、奉賛会を立ち上げて協力体制を築きました。当初は「本当にうまくいくのか」と心配の声もありましたが、一緒に目標に向かって進む中で一体感が生まれ、地域の人たちとの関係性を育むことができたと実感しています。
クラウドファンディング終了後も、氏子さんや地域の方々から「これからこういう風にした方がいいんじゃないか」といった、神社をよりよくするための具体的な意見やアドバイスをいただくようになりました。
氏子さんや地域の方との関係が、ご奉賛のときにだけお世話になるような関係から、皆で同じ方向を向いて神社のことを考えられる関係に変化してきている実感があり、とても嬉しく思っています。

(クラウンドファンディング公開にあわせて立ち上げた「土津神社神域整備奉賛会」)
── 「崇敬者の掘り起こし」という当初の目的は達成されたと感じますか?
はい、県外で活躍されている方々とも新しく繋がることができ、クラウドファンディングを通して、認知の拡大、そして新しい方々とのご縁をいただくという目的も達成できたと感じています。
参拝に来られた方から「クラウドファンディング支援させていただきました」「無事達成しておめでとうございます」と声をかけていただくことも増えました。これは、クラウドファンディングを通じて、神社を身近に感じてくださっている証拠だと思います。
土津神社を応援してくださる方々との繋がりにおいて、「深み」と「広がり」、両方が得られたと思います。
── 繋がったご縁を、今後はどのように発展させていきたいですか?
クラウドファンディングを通じて得られたご縁を活かし、崇敬会を立ち上げる予定です。
土津神社の崇敬会は、私が神職として奉職する以前に活動が途絶えておりました。これからの崇敬会は、代々この地を支えてくださった地域の皆様を中心に据え、その絆と支えを大切にしながら、物理的な距離にとらわれず、全国の皆様ともつながれる「新たな時代の崇敬会」を目指します。
クラウドファンディングを通じて県外からも多くの方々にご支援をいただきました。このご縁を一過性にせず、地域の皆様と県外の皆様が共に支え合い、交流できる場として、「敷居は低く、間口は広く」、誰もが気軽に参加できる会にしていきたいと考えています。
── 最後に、今後の展望をお聞かせください。
現在、土津神社には年間およそ20〜25万人の方が参拝に訪れています。これは、5年前と比べて大きくご縁が広がった証でもあり、地域の皆様の変わらぬお力添えと、全国から寄せられた温かなご支援の積み重ねによるものです。
かつて「東北の日光」と称された創建当時の御社殿の姿を未来へと受け継ぎ、より多くの方に安らぎと祈りの場を開いていくため、将来的には年間100万人の方をお迎えできる神域を目指しています。
この願いは、単に参拝者数の増加を求めるものではなく、「猪苗代に住んでいて良かった」と地域の皆様に誇りを感じていただける町づくりへの一助となることを目指すものです。そのために、手水舎や灯籠、円清水(井戸)の修繕、奥之院拝殿の再建など、段階的に整備を進めてまいります。
氏子会と崇敬会が心をひとつに、訪れる方が感謝と希望の心を深められるよう、これからも神域を守り続けてまいります。
今回のクラウドファンディングは、そのための「第一歩」として本当に重要な活動となりました。支援者の皆様と継続的に接点を持ち続けることを大切にしながら、地域と共に歩み、「地域の誇りとなる神社」を目指して挑戦し続けていきたいと思います。

(行事で賑わう土津神社境内の様子)
※本記事は、2025年2月に開催された『【オンラインセミナー】参拝者5年で10倍!土津神社による計画と継続の極意』の内容をもとに作成しました。クラウドファンディングについてもっと詳しく知りたい方、実施を検討されている方は、ぜひお気軽に下記よりお問い合わせください。
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